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センサ技術を用いて組織内のコミュニケーション状況を把握「ビジネス顕微鏡」 (2007年06月25日)

センサ技術を用いて、組織内のコミュニケーション状況や活動状況を見えるようにするサービス「ビジネス顕微鏡」が、日立製作所で試作されました。

microscope070625.JPG

センサ技術を用いて、組織内のコミュニケーションや活動状況を把握し、地形図の形で図面に表示する組織活動可視化システム「ビジネス顕微鏡」を試作

名札につけられた赤外線センサ、加速度センサ、マイクセンサなどをもちいて、社員同士の対面時間や動作を測定、そのデータを無線通信デバイスでサーバにあつめ、データ化、人間関係をマッピング、可視化していくというもの。

ここまでこれば、教育業界の人にはピンとくるはず。これは、ソシオメトリーの現代版ですね。

ソシオメトリーとは、集団内の人間関係を調べるための技法です。個々のメンバーに「だれが好き?」「だれが嫌い?」というアンケートを行うことにより、集団の人間関係ネットワークを把握するというもので、いじめ対策や、クラスの人間関係を作るために有効だとされています。しかし、直接的ではないにせよ「だれが好き?」「だれが嫌い?」ということを聞くことがプライバシーの侵害にあたるのではないかとされ、1990年代にすたれていったという歴史があります。

その後、創意工夫はいろいろとされています。比較的受けいれられているものとしては、都留文科大学教授の河村茂雄氏が開発したQ-U法ですかね。「居心地の良いクラスにするためのアンケート」と「やる気のあるクラスを作るためのアンケート」という簡単なアンケートを行い、クラスの状態を分析していくというもの。このアンケートの中には、プライバシーを侵害しないようにクラス内ネットワークを把握できる質問が、実にうまくおり込まれています。

また、「ビジネス顕微鏡」にかなりちかい機能を、RFIDタグで実現できないかと考えている方たちもいます。教育業界におけるRFIDタグは、児童生徒の登校確認や、非登録者が校門からはいってきてないかなど、おもに学校の安全管理のために用いられようとしているわけですが、これを子どもたちのコミュニケーション頻度をはかる道具としてつかおうというアイデアですね(例えば、同時に登下校していることがおおい子ども達を「仲良し」であると考えたりとか)。この発想はやはり「ビッグブラザー的なんじゃないの?」という批判を浴びています。

日立製作所では、このサービスについて「目に見える形で把握することが難しかった組織内でのコミュニケーション頻度や活動状況を可視化し、問題点を抽出することが可能になり、組織運営に伴うリスクの低減や生産性向上などの目的で活用することが期待されます」としています。

特に落ちはないのですが、集団があるところ、その管轄をする人間からでてくる要望というのは、「教育」「企業」とジャンルが違っても、あんまり変わらないのであるなあ、という感想。ただ、子ども達の場合、所属できる集団がおとなと比べて少ない(もしくはほぼ選択できない)ため、こういった技術の導入には、さまざまな面で注意が必要であるといえそうです。



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投稿者 kksblog : 2007年06月25日 07:40


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