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女性は理系に向かないとは言わせない 女子中高生の理系進路選択支援事業採択 (2007年06月12日)

文部科学省は、平成19年度「女子中高生の理系進路選択支援事業」の採択機関を決定しました。

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by TwistedHalo

この事業は、女子中高生の科学技術分野に対する興味・関心を喚起するために、平成18年度より実施している事業。採択機関は、理系への進路選択を支援する施策をとることになります。採択されたのは次の9機関。










































機関名 計画名 取組概要
北海道大学 ”理科してみよう!”
Be Ambitious, 女子中学生
<女子校編>
中高一貫教育女子校において、高1秋の進路選択を控えた中3・高1生徒に「理科してみない?」と北大女子大学院生・学部生、女性教員が呼びかけます。理系学部や多様な理系職業の紹介セミナー、体験型出前実験イベントの開催に加えて、 lang=en>Webサイトを利用した個別進路相談も実施します。単発行事に終わらず、女子中高生の心情・悩みに寄り添いながら、理科を学ぶ楽しさ・面白さ・意義を多角的に伝え、進路選択を継続的に支援します。
山形大学工学部 We can do it! 目指せ!理系ガールズ! 女子中高生が理系進学後の“未来の自分”をイメージしてそれを目標とすることができるよう、女性エンジニア、女性研究者などの理系職業の魅力を伝える場をたくさん設けます。取り組みの目玉として、親子で参加していただく「未来の自分探しツアー」を開催。女子中高生とその保護者が一緒に“未来の自分”を考え、語り合う2泊3日の合宿を行います。
独立行政法人
国立女性教育会館
女子高校生夏の学校 -科学・技術者のたまごたちへ- 女子高校生に具体的なロールモデルを示し,科学技術分野への理解の深化及び進学意欲・進路意識の向上に資することを目的に、女性研究者・技術者や科学技術分野専攻の女子学生と宿泊を共にして交流を深め、講演、実験・実習、進路相談等のプログラムを通して科学技術分野への進路を考える機会を提供します。
東京大学
海洋研究所
輝け未来!オーシャンサイエンスで活躍する女性研究者たち 海洋科学者を志し、海の上で研究をしている女子大学院生と女性教員が、学術研究船白鳳丸で実際の研究手法と船内生活を紹介し、さらに出張授業で女性も海洋科学に進出して活躍していることを女子中高生に示します。女子中高生からの海洋科学に関する質問を受け付けるコーナーをホームページに開設します。
東京農工大学 理系のお仕事聞いてみよう!体験してみよう! in 農工大 セミナー型プログラム「農工女子のハローワーク」を実施し、理系進路選択をためらっている女子高生や保護者、中高教諭に理系進路選択後のロールモデルを提示します。
また、農学部・工学部それぞれの特徴を活かした4つの体験型プログラムを実施し、女子中高生に大学での研究や取り組み、学生生活の具体的なイメージをつかんでもらいます。
東京工業高等専門学校 テクノ・ガールズ!-マンスリー・サイエンス・フェスタ in TOKYO-KOSEN 9月から12月まで月1回、女子中学生を対象とした公開講座・講演会を実施します。9月,10月,12月が公開講座で、毎回テーマは異なり、募集も各回ごとに行ないます。休憩時間には女性技術者らのゲストを囲んでティーブレークも催します。保護者や中学校の先生も見学できます。11月は第一線で活躍する女性研究者らによる講演会を開催します。
山梨大学 Do!サイエンス ガールズ 女子中高生を対象に、実際に自分で実験が行える実験教室(ロボットで遊ぼう、橋を作ってみよう、水を科学するなど)、理工系分野の研究や技術開発について体験的に学べるイベント型授業(ナイトミュージアムを体験しよう、リニアモーターカーを体験しよう、北極を体験しよう)を開催します。また父母や教師にも呼びかけ、社会のなかで女性の活躍する場がどう変化してきたのかを検討するフォーラムを開催します。
信州大学 信州夏の学校「わたしもサイエンティスト!」 志賀高原、上高地、松本を舞台とし、女子中高生・保護者・理科教員が一緒に参加して自然科学に親しむ体験学習会「サイエンス・ラボ」を開催します。また、「青少年のための科学の祭典」、理学部オープンキャンパス「自然誌科学館」や講演会では、理系女性研究者のロールモデルを提示するほか、女性研究者・本学の女子学生・大学院生との交流も行います。
特定非営利活動法人
科学と市民社会のコミュニケーション
女子高校生ジュニア科学塾2008 in 関西 関西地区の複数大学の教員が協力して、女子高校生・教員・親を対象にした1泊2日の科学塾を実施します。サイエンスカフェの紹介・実演をした後、11コースに分けて異なる実験をさせ、各々の実験内容をサイエンスカフェ形式で発表させます。また、種々の分野で活躍する女性科学者によるリレー・スピーチや科学と音楽の関係を考えるミニコンサート付きレクチャーなどで、科学に対する興味を引き出します。




文部科学省では、「女性研究者の比率が欧米諸国に比べて著しく低く、また、理工系の学部・大学院においても女性の割合が低い状況にあります」としています。

しかし、「数学が重視される理系」・「数学を重視しない文系」というわけ方自体、ほぼ日本独自のものです。社会学者の橋爪大三郎氏は、理系・文系は明治時代に出来たものだと主張し、その理由を以下のように述べます。

【黒板とノートがあればすむ文系にくらべ、理系は実験設備に金がかかるので、明治時代の日本は、学生数をしぼらざるをえなかった。そこで数学の試験をし、文系/理系をふり分けることにした】(橋爪大三郎「橋爪大三郎の社会学講義2」夏目書房 p.63)

氏はさらに次のように続けます。

【入試問題が別々なので、その前の段階で文系/理系を選択しなければならない。そこで何となく、人間には二種類ある、みたいな感じになってしまう。】(橋爪大三郎「橋爪大三郎の社会学講義2」夏目書房 p.64)

世界的に見て比較的オーソドックスな分け方は、自然科学・社会科学・人文科学。なぜ、これが理系・文系にならないかというと、社会科学、人文科学でも数学を大量に使う研究分野は多く存在しますし、逆に自然科学でも数学を使わない研究分野は多く存在するからです。

数学の得意不得意で進む先を決めるのではなく、最終的に、その人が面白そうと思ったことで進む先が決められる流れができあがると良いですね。

「女子中高生の理系進路選択支援事業」 平成19年度採択機関の決定について


橋爪大三郎の社会学講義(楽天店舗へのリンク)



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投稿者 kksblog : 2007年06月12日 11:13


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