●地方大学こそ大事なのだ!! と三重大学学長の緊急声明 (2007年06月11日)
三重大学学長が、近頃の大学改革の議論を批判する声明を出しています。
by jvoves
これがなかなか激しい論調で・・・。
主張を簡単にまとめておくと、
1:大学の価値は、多面的な評価をするべきである
2:地方大学の論文引用数は、科研費あたりで計算すると、旧帝大と遜色ない
3:大学の規模を縮小すれば、地域への影響が大きい
もともとが短くまとめられているので、以下主張の全文を引用しておきます。
1: 大学の役割は、いうまでもなく研究のみならず、教育(人材育成)、社会貢献(産学連携、地域振興への貢献など)など多方面にわたり、研究費獲得額だけで評価すべきでない。(例えば三重大学は共同研究・受託研究の受け入れ件数では全国立大学中13位である。また、教員や医師などの養成拠点が地域から失われれば地域に多大の損害を与えることは昨今の状況からも明らかである。)
2: 仮に研究費についてだけみても、三重大学をはじめ地方大学の科学研究費あたりの論文被引用数(研究成果の高さを示す)は旧帝大となんら遜色はなく、大学の規模を考慮すればはるかに効率の良い研究を行っていることになる。今回提案はただでさえ優遇されている一部大学に研究費を集中させ、研究効率の良い地方大学を衰退させるものであり、我が国全体の研究機能の低下を招き、むしろ国際競争力を損なうものである。
3: 三重大学は、教育を通じて多数の人材を地域に送り出しており、この機能が失われれば大幅な若年人口の県外流出を招くであろう。また、本学は産学官連携などを通じて地域経済に貢献し、自治体などとの連携により地域の文化振興、社会への貢献に努めている。このような総合的な活動を営む大事業体が三重県から消えれば、単純な経済効果だけでも428億円が失われ(文部科学省委託調査による)、数字に表せない人材供給などのもたらす効果の損失も合わせると、地域全体の活力に図り知れない打撃を与えることになる。
大学は競争原理にはそぐわない所があります。大学の機能の中でも、人文科学系や、そして基礎研究はその最たるもの。かつて大手企業が持っていた基礎研究所はここ10年相次いで閉鎖されてきています。企業経営の主流が四半期(13週)での短期決算となり、10年スパンが当たり前である基礎研究には力を入れられなくなってしまったからです。その分、地方・首都圏を問わず、大学には頑張って欲しいところなのですけれど・・・。
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投稿者 kksblog : 2007年06月11日 22:56