●アイデアを出して、手を増やす ~「ずらす」強制発想法 (2006年11月15日)
新しいアイデアを出してもらうのは難しいもので「意見はないか?」と言っても意見が出てこないことや、 あまりぴんと来ないアイデアしか出てこないことはしばしばあります。また、一人で考える場合にも、新しいアイデアを出せなくて、 悩んでしまうことは良くあるもの。
そういったときに使える方法のひとつに強制発想法があります。今回は、強制発想法の中でも比較的簡単な、「ずらす」をご紹介。
■「ずらす」のやり方
5W1Hというのがあります。いつ、どこで、だれが、なぜ、なにを、どうした。この6要素を、
意図的に変化させていくのが「ずらす」強制発想法です。
例えば、
いつ:14日の夜中
どこで:仕事場で
だれが:榊原が
なぜ:仕事がたくさんあって
なにを:原稿を
どうした:泣きながら書く
これを「ずらす」
いつ:14日の夜中
どこで:仕事場で
だれが:榊原が
なぜ:仕事がたくさんあって
なにを:原稿を
どうした:楽しんで書く
これだけで、たくさんの仕事を「おわらないよー。ひーひー」と言いながらやっているのか、たくさんの仕事を 「今月もいっぱい仕事いただいちゃったよー。ひゃっほう」と言いながらやっているのか。浮かんでくる榊原像は、まったく違ってくるわけです。
■「ずらす」強制発想法は、発想を常識から「ずらす」
小学生のころに、たいていの人は「ずらす」強制発想法と同じような遊びをしていると思います。みんなで、いつ、
どこで、だれが、なぜ、なにを、どうしたのカードを作って、シャッフルして、読み上げる。ありえない組み合わせがいくつもできて、
楽しいものですよね。
でも、なぜ「ありえない」と思ってしまうのでしょうか。それは、僕たちの頭の中に常識があるからです。
いつ:登下校時
どこで:道端で
だれが:高校生の団体が
なにを:小学生の登下校を
どうした:見守っている
これを「ありえない」と思う人もいるかもしれません。確かに従来にはあまりなかったことですね。けれど、 近年では物騒な事件が相次いだこともあり、各地の高校の課外活動的な取組みとして、高校生の小学生登下校見守りは結構行われています。 初めのころはニュースでも取り上げましたが、近ごろは相当数が行われるようになってきて、ニュースとしては取り上げていません。つまり、 この組み合わせに関しては、事実側がずれてきたわけですね。
■「ずらす」ことで、手を増やす
今回、「ずらす」強制発想法を書こうと思ったのは、先生の話を聞くことを重ねていくなかで、先生って
「ねばならぬ」人が多いなあと思ったからです。
たしかに、子ども達の「社会化」に付き合っていく中では「ねばならぬ」ことはたくさんあります。でも、ずっとそれって、疲れません?
「ねばならぬ」を信じていることによるデメリットは、その「ねばならぬ」が時代的に通じなくなった時、また通じない相手に出会った場合、 他の手をとることが、とても難しいということです。いや、だって通じなかろうがなんだろうが「ねばならない」わけだから。
それで、自分自身をつらい方向に持ってっちゃう先生が、たくさんいるんだなあと、近ごろ何となく感じ入ってきたのでした。それは、 先生のメンタリティの問題と言うより、「世間の目」の問題なのかもしれませんが。
いずれにせよ、ちょっと違う手もあるかもしれないと模索する余裕があること、その方法を知っていることはとても大切だと考えます。 つらいことになったり、上手く行かなくなったときに、他に取れる手があることで、楽に感じられることは、多々あります。
その手を考えていく方法として「ずらす」ことは有効だと考えます。
■少し「ずらす」だけで、問題解決してしまうことがある
例えば、こういう例があります。
いつ:朝
どこで:道端で
だれが:ごみ収集のおじさんが
なぜ:お仕事として
なにを:ごみを
どうした:回収していく
ある程度の都市部では、普通に見られる光景ですね。ところが、ここに問題が発生するのでした。カラスです。カラスが袋をつついてやぶり、
むちゃくちゃにしてしまう。これまた、ある程度の都市部では、普通に見られる光景です。
各都市ではいろいろな工夫をして、カラスを防止しようとします。例えば、東京都のカラス対策予算は、一時期億の桁になっていました。
ところが、この問題は、上のひとつの要素を変えるだけで、(カラスによってごみが散乱するという点は)簡単に解決してしまったのでした。
いつ:夜中
どこで:道端で
だれが:ごみ収集のおじさんが
なぜ:お仕事として
なにを:ごみを
どうした:回収していく
「朝」を「夜中」に変えただけでカラス問題が解決する理由は、夜になるとカラスの活動が鈍るためです。福岡市を初めとして、 九州の一部都市では、日没から24時までにごみをだしてもらい、交通量の少ない夜中にごみを回収しています。
これは、ほんのちょっとの「ずらす」で問題が解決してしまった例です。もちろん実際のオペレーションを変えるのは、大仕事なんですけどね。
■変われるということは、それだけで素晴らしいこと
少しの変化。これが大切です。少しの変化でも、大きな結果に結びつく可能性がある。仮に小さな結果であったとしても、
それはそれで素晴らしいことです。少しの変化が大量に重なれば、大きな変化になる。大量の「少しの変化」を足し合わせていくことで、
大きな変化を構築していけるのです。千里の道も一歩から。昔の人は、いいこと言った(榊原)
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投稿者 kksblog : 2006年11月15日 03:19
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