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情報をフィルタリングする デジタル世代の孟母三遷の教え (2006年09月27日)

今週の教育ニュースで取り上げた全連小の8つの視点の中に

「インターネットにかかわるコミュニケーションの指導の充実」というのがあります。 ネットを使ったコミュニケーションの在り方についての指導と、コンピュータ、 携帯電話等の適切な使い方について親子間で約束ごとを決めるよう奨励するというのが、その内容。

このように「情報と子ども」を取り巻く試みには、いろいろなものがあるのですが、そのひとつに情報の「フィルタリング」 という考え方がある。

今回は、フィルタリングに関連する事例をざっとご紹介してみようかと。

■孟母1:キッズgoo
■孟母2:警察庁の「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」
■孟母3:グーグル

 

■フィルタリング概要

コンピュータやITの世界で「フィルタリング」と言った場合、情報を選別することを指します。技術的なことはさておき、 実用されるレベルの話を言えば、これは「孟母三遷の教え」に似ています。

孟子の母親は、わが子のために2回引越しを繰り返した。初めに住んだところは墓地の近くで、幼い孟子は墓堀人足の真似をして遊んでいた。 2回目に住んだところは商家の近くで、幼い孟子はs商人の真似をして遊んでいた。3回目に住んでいたところは学校の近くで、 学生の祭礼や礼儀作法を学ぶようになった。ようやく母は心落ち着かせた、というお話。

孟子の母は、墓堀人足や商売人は、孟子にふさわしくないと考えた。そこで、引越しをすることによって、孟子を墓堀人足や商売人から遠ざけ、 彼らの情報が孟子に入っていかないようにした。孟子に対して、地理的にフィルタリングをかけたということです。

現代では、いくら物理的に遠のいても、情報はネット・雑誌・テレビなどのメディアで入ってくる。ならば、 そのチャネルとなるメディアの情報を選別してしまったらどうだろうか?というアイデアが、当然のごとく浮かんでくる。

これが、現代の「孟母三遷」である、フィルタリングです。


■孟母1:キッズgoo

子ども向けのポータルを目指してサイトが構成されているキッズgooでは、検索のフィルタリングが行われています。例えば、 いかがわしい3文字で検索すると

3文字

 


 

 

 

 

 

こういう結果になる。検索しようとしても、見られない。これも、子どもに情報を見せないためのひとつのフィルタリングだといえるでしょう。


■孟母2:警察庁の「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」

警察庁では現在「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」 というのをやっています。ここではいかにネット社会(主に携帯電話) での情報のフィルタリングをしていくかというアプローチの検討が行われており、IT系の会社から人を招いての研究会を行っています。

この前、この研究会での中間まとめが出されました。そこに記載されている「あるべき今後の方針」をみると、情報に対して物理的、情報的、 2段階のフィルタを考えているようです。

(1)子どもに携帯電話を持たせるかどうか、持たせるとしても、どのような機能の付いたものを持たせるかについて、保護者、 学校等の議論を喚起し、社会的なコンセンサスづくりを早急に進める必要がある。
→「物理」レベルでのフィルタリング

(2)子どもと携帯電話の関係についての社会的コンセンサスを背景として、 携帯電話がもたらす危険性や子どもに安全な携帯電話を持たせることの必要性等について子どもや保護者の間での理解が深まるよう、取組を広範・ 緊急に進めるべきである。

(3)携帯電話会社等に対し、「子どもを守る」という取組方針の下、子どもに携帯電話を提供する際には子どもが違法・ 有害情報に触れないものを提供するなど、対策の格段の強化を求めていくべきである。
→「情報」レベルでのフィルタリング

ということです。フィルタリングの技術的な仕組みに関しては、この研究会で発表した 「netSTAR」さんの資料が詳しいです。


■孟母3:グーグル

フィルタリングは良いことなのか、どうなのか。それは、状況によるとしかいえないとは思うのですね。

都市伝説的っぽいですが、「海でも切り身が泳いでると思ってた」話というのがあります。僕は、そして大方の人はそうだと思いますが、 これを奇妙な話だと感じる。いくらなんでも行き過ぎだろうと。でも、もし、この話が本当なのであれば、これは 「社会状況的に生み出されたフィルタリング」だとも、言えるわけです。

子どもに対して見せたくない情報というのは、確かにある。ただ、この辺も移り変わっていきますよね。 「昔の学校では性とお金とを教えることはタブーだった」と、とある学校の校長先生に教えていただきましたが、 今では両者とも学校で取り組まれている内容です。

フィルタリングの是非。難しいですね。特に結論出しません。やるかやらないか。何を、どのレベルまでやるのか。この辺は、 絶えず考えていくしかないのだと思いますし。

ただ、

「子どもたちには情報のフィルタリングが必要なんだよ。大人が判断した、子どもに与えても大丈夫な情報だけを与えていく。 それが大人の責務なんだよ」

そう疑いもなく信じちゃう人には、僕は「もうちょっとゆっくり考えてもいいんじゃないすか?」とは言いたいと思います。

ということで、孟母3。

グーグル。押しも押されもせぬ、大手検索サイトのひとつですね。

日本のグーグルには初めからフィルタリングがなされていて、 いろいろな意味で行き過ぎた情報は検索結果として出てこないようになっているのです。知ってました? (英語グーグルだと、 フィルタのあるなしを自分で選べるようになっている)。

「日本の大人たちには情報のフィルタリングが必要なんだよ。グーグルが判断した、日本の大人に与えても大丈夫な情報だけを与えていく。 それがグーグルの責務なんだよ」

もし、単語を入れ替えただけの上の一文を読んで、奇妙な感覚を覚えるのであれば、子どもに対するフィルタリングも、 きっとあなたのなかで一考するべきものなのだと思います。(榊原)

※注意:特にグーグルを告発するとか、そういうつもりはまったくありませんですよ。 ひとつの事例として出しました。フィルタリング話に都合が良かったので。「こっちの方がいい」という日本の大人だって、たくさん居るはずです。



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投稿者 kksblog : 2006年09月27日 09:58


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