●日本の学校システムは、早生まれの子に不利に働く可能性がある (2006年06月07日)
早生まれ(1月~3月生まれ)は、最終学歴に不利に働く。これは、内閣府経済社会総合研究所のDiscussion Paper(注1)に掲載された、川口大司氏(一橋大学大学院経済学研究科助教授)による試論の主張。
試論で行われた調査によれば、4月生まれと3月生まれとを統計的に比較すると、3月生まれの最終学歴は、4月生まれのそれに比べ、男子の場合0.2年、女子の場合0.1年短い。ただし、収入レベルには、優位な差が見られない。
氏は、この結果には更に研究を重ねることが必要だとしつつ、教員が早生まれの子どもに烙印(注2)を押さないよう注意を喚起する、学力評価では早生まれが不利にならないようにする等の対応が必要である可能性を示唆し、試論の最後を次のようにまとめている。
「分析の結果は、きわめてセンシティブなものである。この研究結果が早生まれのものを不快にさせたり、早生まれの子供を持つ親を必要以上に不安に陥れたりすることがないように、充分な配慮を持って一般には公開されるべきものである」
(注1)Discussion Paper(内閣府サイトより解説を引用)
「"Discussion Paper"は、内閣府経済社会総合研究所の研究者および外部研究者によって行われた研究成果を取り急ぎとりまとめた試論です。学界、研究機関等の関係する方々から幅広くコメントを頂き、今後の研究に役立てることを意図して発表しております」
(注2)烙印
社会学用語のひとつ。平たく言えば、レッテル貼り。レッテルを貼られた相手は、レッテル通りに動くようになるとされている(レッテルを貼られる→レッテルどおりに動く→さらに強くレッテルを貼られる→…以下繰り返し)。
この場合は、早生まれであることにより知能発達の時期的な差が生じている子どもを、教員が「できない」子どもだと認知して、意識的・無意識的に「できない」子どもとして扱うことを指す。こういう言動が現れると、子どものモチベーションが下がり、本当に「できない」状態になっていってしまうと考えられる。
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投稿者 kksblog : 2006年06月07日 04:42
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