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人の行動を変えるとはどういうことか? ABC分析の考え方 (2006年06月28日)

今回は、行動療法の一手法であるABC分析の勉強をしてみる。使いどころは要考慮ではあるものの、シンプルで強力な手法ではあるので、簡単にご紹介。

■用語解説
○行動随伴性
行動療法の考え方のひとつ。人間は、ある「状況(Antecedent)」の下で、ある「行動(Behavior)」をとると、ある「結果 (Consequences)」が起こるという風に、世界の因果関係を認識しているとする考え方。

○ABC分析
行動随伴性をベースにした人間行動の分析手法。行動随伴性の要素、それぞれの頭文字をとってABC。このABCの状態を分析・ 変化させてやることで、人間の行動を変えることが可能であると考える。

○好子
好ましい結果。ABC分析では、人間は好子を多く得ようとする存在であると考える。

○嫌子
好ましくない結果。ABC分析では、人間は嫌子をできるだけ避けようとする存在であると考える。


■人間の行動を変えるとはどういうことか?
先にも書いたとおり、ABC分析では、人間は好子を得ようとし、嫌子を避けようとすると考える。つまり、

○「ある一定の行動」をとらせたい場合

「ある一定の行動」をおこなったとき
1:好子を与える
2:嫌子を減らす

○「ある一定の行動」をとらせたくない場合

「ある一定の行動」をおこなったとき
3:好子を減らす
4:嫌子を与える

と考える。基礎としては、こんな感じ(詳細に考えたい場合、時間の要素や、不確実性なども考えていく)

■動物のしつけライクなABC分析は、ごく普通の教育手法
ここまで来て「動物のしつけみたい」と考えた人も居るかもしれない。ある意味その通りなのだが、 ABCの考え方に基づく(というか、ABCのパースペクティブで分析できる)教育は、多かれ少なかれ誰しもやっている。

例えば、今、日本で主流の教育方法のひとつである「ほめて伸ばす」という主張は「1:好子を与える」に相当する。また、「しかる」は「嫌子を与える」ことで、その行動をとらせないようにしているのだと考えられる。

ABC分析はごくごく普通の教育手法でもある。

■注意点 ABC分析は「本人の認識」がポイント
ABC分析をつかって、人間の行動を考えていく際の注意点は「本人の認識」がポイントになるところにある。

例えば、ある「状況(Antecedent)」の下で、ある「行動(Behavior)」をとると、ある「結果 (Consequences)」が起こるというのは、本人の認識や信念のレベルの話であって、科学的に正しいことが必要なわけではない。「満月の夜に(A)みそじゃがを食べると(B)死ぬ(C)」と固く考えている男性が居るとする。たぶん、科学的には正しくない。けれども、彼は決して満月の夜にみそじゃがを食べようとはしないだろう。

また、好子、嫌子についても同様で、

中年中肉中背中間管理職(52歳男性)が、

「A:オフィスにて」
「B:寒い駄洒落を言う」

ことが多いため、嫌子である

「C:冷たい視線」

をぶつけてやろうと考えたとする。

その中年中肉中背中間管理職(52歳男性)が「C:冷たい視線」マニアだったりすると、意図に反して「B:寒い駄洒落を言う」 という行動が強化されることになる。

また、「「C:冷たい視線」でもいいので下さい」という状況だったりしても同様。こういうときは、自分たちの中年中肉中背中間管理職 (52歳男性)に対する態度を、ちょっと改めてあげてください。

(榊原)



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投稿者 kksblog : 2006年06月28日 10:06


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