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なぜ、日本の理科教育を受けた生徒はテストの点が高いのか? 国際調査結果 (2006年04月18日)

なぜ、日本の生徒の理科テストの成績が世界でトップクラスにあり、アメリカの生徒の成績は他国に比べて低かったのか? こうした疑問に答える調査研究結果がアメリカ合衆国教育省から発表された。その内容を国立教育政策研究所がまとめている。

ここでいう「理科テスト」とは、国際教育到達度評価学会の行っている「TIMSS(国際数学・理科教育動向調査)」のこと(参考:国際数学・理科教育動向調査の2003年調査(TIMSS2003)

TIMSSは、第4学年(日本では小学校4年生)と第8学年(日本では中学2年生)に対し、数学と理科とのテストを行い、その教育到達度を国際比較しようという研究で、形態を変えつつ、1964年から継続的に実施されている。

今回の調査研究は「理科」に関するもの。TIMSS1995、TIMSS1999、TIMSS2003という3回のテストを通じ、アメリカの生徒の平均点は常に他国よりかなり下のレベルにある。逆に、日本はTIMSS1995ではチェコに続き2位、TIMSS1999、TIMSS2003ではトップの位置にある。

この平均点の違いは、一体どこから生まれるのか。

その原因を授業の内容・展開に求めようというのが、今回の調査の目的となる。同調査では、各国の授業ビデオを用いた。得点の高い国と低い国の授業を比較したり、得点の高い国の間での授業の共通性や差異性を検討したりしようというわけだ。

その結果、アメリカ合衆国教育省でまとめられた共通性・差異性・特徴は以下のとおりだという(以下、引用)


◆ チェコ共和国の理科授業の特徴: 科学の内容を話して伝える
◆ オランダの理科授業の特徴: 個別に理科を学習させる
◆ 日本の理科授業の特徴: 概念と証拠を関連づける
◆ オーストラリアの理科授業の特徴: 主要な概念と証拠と実世界の諸問題を関連づける
◆ アメリカ合衆国の理科授業の特徴: 多様な学習活動を実施する

◆ 日本の理科授業は,より高い割合で,生徒の観察実験活動を実施していた。
◆ 日本の理科授業は,科学関連の実世界の問題(社会問題や生徒の個人的経験など)をクラス全体で話し合う時間が少なかった。
◆ 日本は難易度の高い内容を扱う授業が少なく,65%の授業は基本的内容のみを扱っていた。
◆ 日本の授業では,生徒が学習する内容と活動が,概念的に強くつながっていた。
◆ 日本の理科の授業は,複数の観察実験で得られたデータや複数の現象を証拠として,授業での主要な概念が裏付けられる内容となっていた。
◆ 日本の授業では,予測を立ててから観察実験を行う授業がより多く行われていた。また,データや現象を解釈する活動,データを収集し記録する活動,および,教師の指示や教科書に従ってデータを整理し処理する活動が,より多く行われていた。しかし,データの整理と処理を生徒が独自に考えて行う活動は見られなかった。


今回の分析は理科の授業に対するもの。数学の授業は、分析が2003年に行われ、発表されている。


『TIMSS1999 理科授業ビデオ研究 国際調査結果の要約』を掲載しました。
『TIMSS1999 理科授業ビデオ研究 国際調査結果の概要』を掲載しました。



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投稿者 kksblog : 2006年04月18日 03:41


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