●「子供を非行化させる10箇条」 (2005年11月22日)
これまたとても考えさせられる10箇条があったので、ご紹介。小田原にある少年院の次長さんが作ったそうです。
1. 幼い時から放りっぱなしにしましょう
2. 欲しいと言ったら何でも買い与えましょう
3. 子供の間違いや失敗は理由を問わずしかりとばす
4. 子供がどこで何をしようが、遊ぼうが、気に留めてはいけない
5. 兄弟やよその子と比較して、お前は馬鹿だ、誰々を見習えを連発する
6. 忙しいのに食卓の団らんなど無駄
7. 子供がよいことや努力してもほめてはいけない
8. 子供の前では夫婦の意見を一致させてはいけない、とくに父親は難しい問題が出てきたら家を出ましょう
9. お金こそ人生の全てだと身をもって教え込みましょう
10.子供の前で常に法律、学校、警察の悪口を言い、社会の決まりや公共機関への敵意を植え付けましょう。
そして、11箇条目が続く。
以上10箇条。全て忘れたとしても、次のことに進むならば、あなたのかわいいお子さんは少年院へと進むでしょう。
いつも夫婦仲悪く暮らし、出来れば不貞を働き、大人のエゴをむき出しに暮らしましょう。さすればかわいいお子さんは、少年院へと向かうでしょう。こんなことをやって20年です。
辛らつ。
この10箇条を紹介しているのは、落語家の桂才賀さんが講演会で語った内容のようだ。
桂才賀さんは落語家でもあるが、同時に法務省少年院面接委員も行っている。面接委員とは、
保護司は全国で5万人あまりいるが、面接委員は2000人もいない。大きな違いは、保護司は自宅で待っていて相談に乗るが、面接委員は塀の中に通って面接する
人のこと。すでに1000回以上の面接カウンセリングを行っているとのこと。その経験を元に、講演を行っている。
■他にもこころにピン止めしたい部分はたくさんある
講演会なので、この10箇条だけで話が終わっているわけではない。
例えば、こどもたちの作った川柳を紹介している。
私が気に入っているのが次の川柳
「この人は向いてないのに教育者」
・・・ただ紹介しているだけなのに、涙があふれちゃって止まらないのは何故だろう。
この川柳集で、子供たちに気に入ったのに投票してもらったら、断然トップだったのが
「たまにはヨ 叱ってみろヨ 大人たち」
だった。
叱っているよ、とおっしゃる方もいるかもしれませんが、叱っていません。怒っているんです。今の親は、先生は、警察官は、叱っていない。怒っているんだ。
(中略)
叱るというのは、今日、帰って辞書を引いてみてください。「過ちを正してやること」と出ている。カッカしてたら出来ない行為。怒りを抑えないと、過ちを正してやることなんて出来ない。怒ると叱るでは、全然レベルが違う。殆どの親は怒ってはいるけど叱っていない。先生も然り。だから子供たちも訴えているんです。「たまにはヨ 叱ってみろヨ 大人たち」
参照記事:こどもを叱る
また、少年院に来たこどもたちの共通点という話をして
一つは箸が使えません。16、7なのにですよ、親がきちんと仕込んでないと言うことです。もういくら言ってもこぼす、服を汚すからめんどくさい、もうスプーンでいいよ、と言ってずっとスプーンにさせてたんですね。靴を並べるということも、教えていないんですね。親がだらしないわけですな。
昔、「大衆語」という考え方を紹介したことがある。
参照記事:「ことばの力」を育む
「大衆語」言葉遣いに触れている下層階級の子ども達は、言語的・論理的な思考能力を養う事ができずに、自分の考えるところを短い、舌足らずの言葉で表すことしかできなくなる(ので、上層と下層との格差は年代を超えて再生産されていく)という主張が込められている。
このあたりと関連する部分があるかもしれない。
■まとめ
この講演の内容は、桂才賀師匠の見聞の範囲のものなので、これがすべてなわけではないし、すべてがあっているというわけでもないだろう。
例えば、箸や靴の話は、箸が使えないから少年院に行くというロジックが正しいわけではない(そうすると、箸を使わない国の人は、全員少年院に行くという論理が成立してしまう)。
それでも、桂才賀さんが1000回の面接を重ね、落語家の感性で捉えたものは、多くの示唆を与えてくれる。人によって、どこに惹かれるかは異なるだろうが、親や教育に関わる人は、一読しておく価値がある文章だろう(榊原)
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投稿者 kksblog : 2005年11月22日 12:22
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