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私立ぐんま国際アカデミー
       ー「小学校1年生から、教科の7割を英語で教えて」

授業中、小学生の子どもたちが英語で友達とやりとりしている。休み時間も英語で会話しているのが聞こえてくる。「1年生から英語で考えるようになっているのではないかと思います」と語る井上春樹副校長は、オープンスペースの所々にあるコンピュータで授業中英文サイトを検索・閲覧していた子どもたちについても、「分からない単語が出てきても止まって辞書を引かなくても、大意がつかめているようになっていると思います」と説明する。

学校法人太田国際学園ぐんま国際アカデミーは、小泉内閣の時に太田市が英語教育特区に認可され、誕生した私立学校である。東武伊勢崎線太田駅から約2`b、県立太田高等学校の西側に、約2万3000uの敷地に延床面積約8000uの平屋建て、教室に壁のないオープンスペース仕様の校舎が建っている。1学年3クラス、1クラス36名。授業はほとんど、1クラスを2分割した少人数で、外国人教師と日本人教師のTTで授業が行われる。教室の作りも小人数授業や教科に対応し、同じスペース・形ではなく、様々な形態になっている。

  2005年4月6日に開校し、毎年1年生と4年生が順次入学、3年目になる今年で1年生から6年生までが揃った。現在は、まだ小学生しかいないが、小中高12年間の一貫校で、来年最上級生が中学1年生になる。児童数は現在451名、太田市の住民になると入学金が半額になるため、太田市に引っ越してきた人も相当数いるという。保護者の英語熱は高く、千葉県から通ってくる児童もいるとのこと。

イマージョン教育

 ぐんま国際アカデミーでは、英語イマージョン教育(じっくり浸す教育)が行われている。英語イマージョン教育とは、通常の授業も英語を使って行うことで、国語と社会を除く教科(約70%)は英語で行われ、6年間で約4700時間を英語で学ぶことになる。1年生から6年生まで、土曜日を除く月曜から金曜まで、全学年毎日6時間の授業。年間の授業時数は、学習指導要領の標準時数に比べ各学年とも130時間から270時間多く取られている。

  英語漬けとなり国語力が低下する心配はないのか、という質問について、「まったくない。国語力も大切にしているので、かえって言語に対する感覚が研ぎ澄まされる」と井上副校長はいう。英語を学ぶことでかえって、主語・述語など文の構造もはっきりしてくる。

  国語の時数は、学習指導要領に比べ年間で、1年生で24時間多く、1年生から古文(枕草子など)や漢文も関連させて教えている。国語科の最終目標は、クリティカルシンキングスキルの獲得とのことで、分析的思考力を使って自分の考えを自分の言葉で表現し書くことを目指す。

  また、音楽は、ジャンプ ライト インという教授法で行われる。言語と同じように、音楽も音を浴びることで、音で表現できるようになるという考え方で、外国人教師が指導。5年生からサックスやフルートなど一人1楽器を購入して、演奏表現を学んでいる。

  3時間目に教室を一回りすると、英単語の発音練習、英語による算数授業、歴史上に人物についてのまとめ学習、トロンボーンの演奏練習、演劇表現の学習、コンピュータを使ったレポート作りなど、多様な学習が展開されている。ある教室では外国人教師と日本人教師のTTで、ある教室は外国人教師だけで授業が進められている。

  子どもたちは普通の顔をして英語で行われる授業についていっている。子どもは、指示される言葉の習得は速いという。
  さて、肝心の子どもたちの英語力を英語検定で測ると、今年1月で英検3級合格者が56名、英検準2級合格者が32名に及ぶ。また一般学力についても、毎年末に受けている東京書籍標準学力調査によると、国語、算数とも全国標準よりも得点が高く、5年生の国語では14・7ポイント、5年生の算数では7・7ポイント高くなっている(表参照)。

  教科書は算数と理科生活科では、文部科学省検定教科書の英訳版が使われ、英語や音楽はそれぞれ、アメリカの学校で実際に使われている教科書「Houghton Mifflin Reading」等、「Jump Right In」が使われている。


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