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耐震改修費を大幅増、FD支援経費を新設

文部科学省の平成20年度私学関係概算要求が8月末にまとめられた。それによると、私立大学等経常費補助は3350億5000万円、私立高等学校等経常費補助は1068億5000万円を要求。新たに、FD支援経費や9月入学推進補助費、私立高校等の財務状況を改善補助のための予算を要求。また、施設整備費補助で、耐震改修費を大幅増額、新たに大学等、私立高校等において改築事業も補助対象となる。ニーズの多い教育研究装置整備費も増額要求している。

「私立大学等の経常費に対する補助」については70億円増の3350億5000万円を要求している。昨年12月改正された教育基本法に、私立学校に関する規定が新設され、国は「助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない」と明記された。この中、基盤的経費である「一般補助」の中で57億円を要求しFD支援経費を新設した。これは、すべての大学、短大、高等専門学校にFD支援部を設置し、その教員の人件費を補助するもの。また、医学部の定員増に1億円を要求、医師不足県の医師養成、自治医科大学の定員調整行う。さらに、「特別補助」で12億円を要求し、新たに9月入学の推進費等を盛り込む。9月入学を予定しているとされる5%程度の大学で、9月入学実施に伴う講義の重複に関わる非常勤講師などの配置経費を補助する。

「私立高等学校等の経常費助成費等に対する補助」についてはは30億円増の1068億5000万円を要求している。このうち「一般補助」で、新たに私立高校等の財務状況の改善支援を行おうとする都道府県への補助に約13億円を要求。また、従来通り私立学校の振興のため、少人数教育などきめ細かな学習指導の推進や教員の質の向上について重点的に補助する。「特別補助」では、子育て支援推進経費の充実や、発達障害など特殊ニーズのある子どもに対するきめ細かな支援を行うため幼稚園特別支援教育経費を充実する。 

「私立大学等における教育研究装置・施設の整備費に対する補助」に関しては、約43億円増の149億1948万円を要求している。増額分の大半は、学校施設の耐震改修事業費で、耐震改修費を38億円増額要求する。これまでは補助対象は改修事業だけだったが、新たに改築事業も補助対象にする。アスベスト対策工事、施設のバリアフリー化工事も引き続き支援する。

 また、従来の「私立大学学術研究高度化推進事業」を見直し、「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に名称変更し、経営戦略や研究戦略上意欲的なプロジェクトに対し研究施設・設備などを一体的に支援する。さらに、大学等からニーズの高い「教育研究装置」は4億9800万円を増額要求。既存施設をマルチメディア対応施設に改造する「情報通信施設」、学内LAN等を構築する「情報通信装置」、インターネットなどを活用し他大学などと教育研究の連携・交流を進める「サイバーキャンパス整備事業」も引き続き実施する。

 「私立高等学校等の施設整備費に対する補助」についてはは、13億4700万円増の34億2500万円を要求している。増額分はすべて、耐震補強、安全機能強化(防犯対策、アスベスト対策)を行う「防災機能強化施設整備補助」で、改修事業だけでなく新たに改築事業も対象とする。校内LANや施設のバリアフリー化、カウンセリングルーム整備に対し補助する「高機能化整備費補助」、太陽光発電や緑化、雨水再利用など環境に配慮した校舎への改造に対し補助する「私立学校エコスクール整備推進モデル事業」も引き続き実施する。

 「私立大学等における研究設備等の整備費に対する補助」については、2億1000万円増の64億4313万円を要求している。従来の「私立大学学術研究高度化推進設備」を見直し、「私立大学戦略的研究基盤形成支援設備」に名称を変更し、研究設備への支援を拡充する。また、大学・短大・高等専門学校及び専門学校を対象にした「研究設備」、「情報処理関係設備」を引き続き補助する。

 「私立高等学校等IT教育設備整備推進事業」、「私立学校施設高度化推進事業費補助」はいずれも前年度同額で、それぞれ11億円、11億8000万円を要求している。前者は私立小中高、中等教育学校、特別支援学校のコンピュータ等IT教育設備の購入費の一部を補助する。私学の特色を生かしながら、コンピュータやインターネット等を活用し各教科でIT教育を充実させることが狙い。後者は老朽校舎及び旧耐震基準の学校施設の建替えにつき10年間利子助成する。




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