インタビュー 小・中・高教育 大学・短大等教育 ニュース 企画のご案内 お問合せ

国私8大学が連合 連合教職大学院が開設

京都教育大学長 寺田 光世氏
鳥海十児氏の写真

平成20年4月に19の教職大学院大学が開設しているが、この中には京都の国私8大学の連合形態による連合教職大学院も誕生している。国立の京都教育大学を基幹大学に、市内の7つの私大が連合したもの。寺田光世京都教育大学長が創設の経緯、連合のメリットなどについて以下語った。

  議論の中でいろいろな要求が出て、現場からの要求に十分汲み取ってプログラムを作った。

  連合だからできることをまとめてみると、授業時間は午前中はフィールドワークとし、講義は4時限(14時35分〜16時5分)から7時限(20時〜21時30分)まで行う。1つの授業を週3回行うので、受講生は昼間、夕方、夜など都合の良い時間に取ることができる。このような贅沢な設定は多分連合だからできることだろう。ただ、フィールドワークは午前なので、学校長や教育委員会の了解を得て休んで取らなければならない。年間で同一授業を26枠開講し、必ず夜間開講もするので、通常勤務をしながらの受講が可能である。

  もう1つの特徴は、原則TT授業を行うことで、研究教員と実務教員の2人で1つの授業を担当する。理論と実践の融合を考えるならば、有効だろう。 

  さて、教職大学院の目指すものとは何なのか。既存大学院とどこが異なるのか。文部科学省に何度も通って議論をした。なかなか答えが見出せなかったが、最終的にはこのような考え方になった。既存大学院は専門的学力を身に付けるところから教職実践力をつけるところまでを担う。教職大学院は教職実践力をつけるところからはじまって、学校経営力をつけるところまで進める。

  実際に協定・覚書を交わし、発足させたが、組織形態や学則、運営方針、管理運営組織など様々な議論と調整が必要だった。

  今回、京都で実際に連合教職大学院が発足できたのは、狭い中に約30大学があり、一丸になってやるという基盤、教員養成の業界全体の質的向上を目指す意識があったからだ。もう1つ大きなこととして、大学コンソーシアム京都の活動が実績を積んでいて、協力関係が醸成されていた。また、教育委員会の全面的な協力が必要であり、幸いにもその協力が得られたことである。他の地域で、こうした連合大学院を考えるときには、教育委員会の協力が絶対条件である。

  連合教職大学院の利点は、8大学の多様なリソースが活用できること、多様な理念で幅広い教員養成が可能であること、学校・教育行政のニーズに対して一元的な対応ができること、さらに8大学あわせて学部生総数約11万8000人の多様なキャリアの学生に進学をアピールできるといったことが上げられる。

  一方、文部科学省は「共同大学院」という新制度の準備を進めていると聞く。連合大学院では基幹大学名で学位が授与され、共同大学院では全大学名で学位授与ができるなど、新制度が発足すると改善される点がある。
参考データ=連合教職大学院の定員は60名(うち、連合参加大学からの特別推薦枠25名)、教員20名(基幹大学8、連合参加大学7名など)。

  参加大学=京都教育大学、京都産業大学、京都女子大学、同志社大学、同志社女子大学、仏教大学、立命館大学、龍谷大学



*このページへのご意見、ご要望をお寄せください。 また、実践例やニュースなどをお持ちの方は、ご投稿ください。 検討の上、掲載させてもらいます。