●保護者に好評! 卒業記念DVD
──東京都・多摩市立東落合小学校
「まずはデジタルカメラで撮影した写真をつなぎ、スライドショーを5秒間隔、3秒間隔といった好みの間隔で簡単に実演できる。このソフトの練習のためにもいいことで、子どもたちもすぐできると思います」と語るのは、日常的にビデオ編集ソフトを活用している小泉誠先生。
小泉誠先生は、DVD「16年度 卒業記念 MyMemory」を動画、写真(静止画)、音楽を組合せ、ビデオ編集ソフト「MovieStudio」で作成。6年間の思い出を詰め込み、保護者に配ったり、新1年生の保護者向けに30分程度の学校説明コンテンツを作って好評を得たという。単純なビデオテープと違って編集されたものはまとまっていて、分かりやすいわけだ。
「学校では様々な動画・静止画像を撮り扱うようになっています。例えば、移動教室や社会科見学時の(体験)学習の様子、音楽会などの行事の様子をビデオで何時間も撮るわけです。動画編集ソフトがあれば、5時間の録画を40分に短縮してみたり、その中にお遊びの画像を入れる、タイトルやテロップを入れる、エンディングのシーンを映画のようにかっこよく上下左右にスクロールさせる、といったこともできます」
MovieStudioの使用感について小泉先生は、「テキスト、ビデオ(静止画)、音声の作業トラックが全て並行して上部にあり、視覚的に見やすく使いやすいですね。時間の推移を軸にビデオや音声を一緒に追っていくことができるので、他のソフトのようにズレが出にくい。
つまり、テレビ放送局のスタジオなどでよく見かける調整卓のような、ズラッとプレビュー画面が格子状に並んだ編集画面ではなく、画像の変更をタイムラインに沿って確認できる。画像を変える時間を速くする、遅くする、といった色づけ、味付けもしやすい。
また、記録するメディアもCDかDVDを選択できる。さらに、他のソフトで製作したCD、DVDで記録された作品を取り込んで編集加工して新しいメディアに記録できるのもメリットですね」と話す。
ビデオ編集に慣れている先生ならではの使用感、と言えそうだが、初心者の先生向けにはこんなアドバイスをする。
「撮った動画を短縮するにはかなり時間がかかるが、静止画だけ組み合わせるのであれば短時間でできる。従って、ビデオ編集から入るのではなく、まずは静止画を動かすことから入れば楽しみが広がるのではないでしょうか。例えばBGMを先に入れておいて、それに静止画を合わせていくといった方法もあります。
MovieStudioは写真を一括して選択するだけでスライドショーが簡単にできます。私の子どもも教えたら5分でできましたので」
多摩市立東落合小学校では、3割ぐらいの先生が動画や静止画の編集を行っているという。それは、情報及び少人数担当の小泉先生が様々な形で個々の教員に無理のないように<Tポートしているからだ。
また、同校は小中連携の合同学習発表会用に保護者とともに作成した「地域防犯マップ」で東京都から表彰された。Excelのマクロやパワーポイントに動画や地図を埋め込み作った動く防犯マップ=BMovieStudioで作成したものではないが、同ソフトを使えばより効果的な演出もできそうだ。今年は薬物問題のDVDを作成し発表する予定だという。
東落合小学校のコンピュータ室で |
授業ではMovieStudioと4枚の静止画像を利用して、子どもたちにクイズを作らせた。また、外国人英語指導助手による小学校の英語活動の時間をビデオで撮影しておき、ポイントの部分だけ編集して取り出しておくこともしている。例えば「挨拶」のシーンを抜き出し、後日「繰り返し後について言ってみよう」と動画を見せると、子どもたちはまた新鮮な気持ちで取り組めると言う。
●中学校5校に導入
──千葉県袖ヶ浦市教育委員会
庄司指導主事 |
千葉県袖ケ浦市は情報教育の先進市。普通教室のLAN整備率は小中学校とも100%を既に達成。コンピュータで指導できる教員の割合も小学校92・1%、中学校89・7%と全国平均よりもそれぞれ12ポイント、29・2ポイント高く、17年度中に指導できる教員の割合を100%にすべく「指導できない」教員を対象にした研修プロジェクトを展開中だ。また、コンピュータの1学級あたりの年間平均活用時間も小学校で32・9時間、中学校で50・8時間に及び、他市町村に比べて頭抜けている。さらに、情報モラルの取り組みも進んでいて、「すべての学級の先生」が「ネット社会の歩き方」などの情報モラル教材を使って指導するように研修されているのは特筆される。
同市は今年度、市内の中学校の機器更新に合わせ、ビデオ編集ソフト「MovieStudio」を中学校5校の教師用コンピュータに導入した。今年2月のコンピュータ主任と教科の代表からなるソフトウェアの選定会議で「動画編集ソフトが必要」という声が上がっていた。その折、庄司三喜夫・学校教育課指導主事が本紙のモニターに応募、たまたまビデオ編集ソフト「MovieStudio」を試用し、使い勝手もインターフェースも良く、価格も適正だったことが決め手となった。
「他社のソフトと比べて使い方が簡単でした。また、タイムラインに沿って動画を編集でき、使用されている言葉も専門用語ではなく、分かりやすい言葉で直感的に使用できます。また、動画や静止画を取り込む際にも、別の画面を立ち上げる必要がなく、動画編集と同一画面内の操作でできるのは便利です」と庄司指導主事。
市内各学校のファイルサーバに「学習」と「校務」のフォルダが作られていて、その中にデジタルカメラなどで撮影した動画のデータが増加している。また、教員も私物のビデオカメラやデジタルカメラを使って、独自に撮った動画・静止画像を活用している機会も多くなっている。
「現状では教員にとって動画編集は敷居の高いものの1つですが、今後は動画編集のニーズが間違いなく高まっていくでしょう。子どもたちもいずれは編集できるようにしてきたい」
従来アナログで毎年行っていた体育の指導用ビデオの作成もデジタルデータであれば、不必要な箇所の削除や頭出しも簡単だ。
今年度の機器更新により、中学校のコンピュータは動画編集のできる高性能なものになり、また、各校20台のデジタルカメラが追加配備された。
■ビデオ編集ソフト
「Movie Studio」
Sony Media software社からリリースされたMovieStudioは、マウスのドラッグアンドドロップで、絵を描くように編集できる、簡便な操作性が特徴で、初心者でも素材を並べるだけで水準以上のコンテンツに仕上げられる。
また、プロ用ソフトウェアに匹敵する機能とリアルタイム編集(すべての操作が常に再生中に行える)の技術は、通常の編集ソフトには見られない機能だ。高度な映像効果の演出、CM制作授業などにも十分対応可能な水準。
価格・2万6040円(税込)
アカデミック版1万5540円(税込)
【提供】 株式会社フックアップ
http://www.hook
up.co.jp/software/moviestudio/ms.html
【2005年11月5日号】