成長欲の湧き立ちは自分への評価から

鈴木敏恵さん
(すずき・としえ)
未来教育デザイナー・一級建築士・オブジェ作家・
千葉大学教育学部講師

教育家庭新聞特別号



  「客観的に自分の成長を見て、自分を好きになってほしいから」――

未来教育デザイナーとして、数々のプロジェクト学習をプロデュースしてきた鈴木敏恵氏が、ポートフォリオの有効性を語る。
 「絶対評価って?」「成長って?」――木枯らしの冷たさが緩み始めた2月末、全国各地でライブを続ける鈴木氏を虎ノ門に訪ねた。

 絶対評価を行ううえでのポートフォリオの有効性とは――

 ポートフォリオを見ると自分の成長が客観的に掴めます。また「目標」と「成果」を照らし合わせ、自分自身で「評価」できることに価値があります。"他の人"と比べるのではなく、「昨日の自分」と「今日の自分」を比べると、知識が増えたり、いろいろな考え方が出来るようになっている自分を発見します。「あぁ人間(私)って成長するものなのね!」と嬉しくなりさらなる成長欲が湧いてきます、また得意や個性も発見できます。

 一連の学習を継続して行う上で、子どものやる気を起こす秘訣とは―

 「意志ある学び」であること。「何のために何をやり遂げたいのか!」を子ども自身が掴んでいることです。「テーマとゴール」を明確にもち、子どもがそのゴールをイメージできることがやる気の秘訣です。ある学校では環境問題に取り組む際、「ゴミレンジャー」から「私たちの○○町を美しくしよう!」とテーマを変えたところ、子どもたちの使命感がぐっとかきたてられ、その結果大きく成長しました。何をしたいのかがはっきりわかるテーマと達成感のあるゴールに向かうことで、地域や専門家の理解や応援も得られ、子どもはさらにやる気になります。

 教科における指導案と違い、総合的な学習は活動をイメージしにくいという話を聞きます――

 そこでどんな領域や題材にも対応するプロジェクト学習のプラットフォーム(基盤)を設計しました。未来教育ポートフォリオシリーズ(教育同人社)です。問題解決力や思考スキルが戦略的につく24枚のシートで構成しています。

フェーズを踏むことで 
子どもが何をするか
イメージできる


 段階を予め理解して学習する効果として――

 一枚一枚のシートはプロジェクト学習の基本フェーズ展開で進みますので、次に何をしたらいいのか子どもが自分でイメージでき自主的に進めることができます。

 多くの反応が寄せられているそうですね――

 いまプロジェクト学習のワークショップを全国展開し子どもが成長する「コーチング技術」を掴んでいただいています。参加した先生は早速、学習に取り入れ、「何のためにこれやるの?」と子どもに尋ねたそうです。子どもは「○○のため!」と応え、達成感や自信を得て自分を好きになりグンと意欲的になったそうです。先生が、子どものやる気を引き出す「スイッチ」を切り替えたのでしょう。そのスイッチは、「意志ある学び」を叶えるポートフォリオの存在です。

※ポートフォリオシート集については教育同人社03・3971・5151まで。鈴木敏恵氏によるわかりやすい動画による講座は
http://www.mirai-portfolio.net
1冊240円(教師用解説書630円)各税込。
http://www.djn.co.jp