アップルジャパン株式会社
広報部
学校での製品利用はもちろん、教員向けコミュニティサイトや教材提供など、これまで約30年間、米国の教育界を支えてきたアップル社。日本では昨年から教員や学生を対象としたコンテストを相次いでスタート、また今年11月には第1回となる教員向けイベントの開催を予定するなど、その活動も本格化してきた。日本市場での取り組みについて、アップル社広報部に話を聞いた。
表現活動をサポート
これまで表現力や操作性に富んだ同社PC「Mac」の利点を感じながらも、競合製品が数多く利用されるビジネスシーンとの接続を考えて、教育現場への導入を見送る教員も少なくなかった。しかしそうした流れもここにきて、大きく変わりつつあるようだ。
「日本においても順調にMacが浸透したため、昨年から私達の本来の強みの1つである教育分野での活動に、より力を注げるようになりました。また昨年夏から、Macでも他社製OSを併用できるようになったことで、教育機関からの引き合いも格段に増えました。表現・創作活動を取り入れる場合はMac、文書作成の場合は他社製品と使い分けられているようです」
Macを活用した代表的な授業の1つに、調べ学習の成果を動画にまとめた授業実践がある。子どもの意欲・関心を引き出すツールとしてMacが使われ、児童・生徒は静止画や動画、スライドショー、音声、著作権フリー音源などを組み合わせて表現する喜びを知る。テーマを「町で見つけた面白いもの」「田んぼで発見した珍しい生物」とすれば社会科や理科の授業に、ナレーション原稿を作れば作文教育にもつながる。このような授業実践を考える場合、操作スキルの習得に時間をとられると授業が成り立たない。そこでソフト間の連携もスムーズで誰もが直感的に操作できるMacが使われるという。多くのクリエイターに愛用されるMacを教育に利用する利点は、表現力に優れた機能性はもちろん、大人から子どもまで使える操作性にあると言える。
11月にはフォーラム開催
しかし、たとえ教育現場で効果を発揮する機器であっても、活用に意欲的な教員が孤立しては現場の支持を得ることは難しい。そこで同社では、今年8月から教員用コミュニティサイト「Apple Learning Interchange」を開設して、小・中・高校の教員を対象に昨年から始まった「デジタル教材コンテスト」の受賞教材等を紹介。また同月には、Macのより良い活用方法を検討する研究会として「Apple Distinguished Educator」を発足、全国でICTの活用をリードする50名の教員が参加して授業実践の発表や共有をはかっている。実際にMacを使った実践事例を体験したい教員には、ワークショップ「Apple Professional development」を通して教材作成やPodcast配信などを体験できる場も提供。8月以降これまでに開いた3回の講座は、毎回満席となるほどの人気だ。
また子ども向けには小学生とその保護者を対象にしたワークショップ「Mac Kids」、中学生以上を対象にした映像作品コンテスト「学生デジタル作品コンテスト」を実施、高校生以上の学生には、今年3月から学生向けワークショップ「Touch the Mac」も開始した。
「私達はMacを通じて、子ども達に秘められた能力を外の世界に引き出すサポート役に過ぎません。今後はこれまで以上に先生方と交流を持ちながら、教育現場の表現活動を支えていく予定です」
同社では11月8日〜9日、デジタル教材コンテストの受賞教材の発表やポスターセッション等を行う「Apple Education Forum2008」の開催を予定している。
(聞き手 吉木孝光)
【2008年10月4日号】