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「学校裏サイト」監視サービス「スクールガーディアン」
問題サイトの発見・削除依頼・対応
実態把握でリテラシーの向上を

蔵田三沙代氏
(株)ガイアックスソリューション事業部
オンラインマーケティング部
蔵田三沙代氏

 3月11日、文部科学省が発表した中間報告で全国に約3万8000件(九州・沖縄地方を除く)もの学校裏サイト(スレッド)が存在することが明らかになった。株式会社ガイアックスは『人と人をつなげる』を企業理念に、これまでSNSやブログといったコミュニティサイトの運営をはじめ、より良いインターネットの利用環境を保つため、悪意のある書き込み等の発見・警告・削除等を行う「CGM監視サービス」を提供。昨年からは学校裏サイト対策サービス「スクールガーディアン」を開始している。学校での運用も始まった同サービスについて、蔵田三沙代さん(ソリューション事業本部オンラインマーケティング部)に話を聞いた。

負担減らす相談窓口

 PCや携帯電話が身近なものとなり、子どもたちは仲間意識から学校名をタイトルにした掲示板を気軽に立ち上げ、利用するようになった。書き込む内容は学校での出来事や好きな有名人やマンガの話など、大人の目が届かない学校生活の延長の場としてコミュニケーションをとるのに役立てている。

  「問題のある書き込みは一部に過ぎませんが、様々な世界につながっているネットでの書き込みは、その内容が文字としていつまでも残り、トラブルの原因になります。携帯電話コンテンツの利用は大人より子どもたちの方が進んでいて、子どもたちの利用実態を教職員や保護者が知る術がありません」

  そこで同社では昨秋、CGM監視サービスで蓄積したノウハウを活かして「学校裏サイト」を監視するサービス「スクールガーディアン」の提供を開始、現在既に2校が導入・運用している。導入校で行った1か月間の調査では、それまでの3か月の間に学校の名前で8件の掲示板が立てられ、うち3件では実際に生徒の個人情報が書かれてたという。

「多くの方が、悪質な書き込みを発見しても次にどこへ連絡すれば良いのかわからなかったり、実際にサイトを運営する企業へ削除を依頼できても、運営側が対応に乗り出すために必要な情報が足りず、対応が後手になることもあります。また削除を要請しても速やかに対応してくれるサイトばかりではないのが実状です」

  同サービスでは、問題のあるサイトの発見だけでなく、削除の依頼作業も原則ガイアックスが代行する。また、大手コンテンツプロバイダと提携して、契約する学校には専用の相談窓口を置いて学校の負担を減らしている。

早期の対応が必要

 インターネットに端を発したトラブルは、水面下で進行して、表に現れた時には大きな事件・事故につながることが少なくない。学校関係者は忙しさも手伝い、事件が起きてからでないと対策をとりにくい状況にあるが、それではやはり遅い。

「誹謗や中傷の書き込みから発見まで時間がかかると、個人情報や画像が流出するリスクが高まるばかりか、被害者の負う心理的な傷も深くなってしまいます。掲示板というコミュニケーションの場は、これからの時代なくすことはできません。子どもたちに適切な使い方を習得してもらうためにも、先生方や保護者の方々には子どもたちの利用実態を知って欲しいですね」

  現実世界で児童生徒の人間関係の把握やいじめの早期発見が求められているのと同様、インターネット上のトラブルも早期に発見して適切に対応することが欠かせない。トラブルの予防だけでなく、「スクールガーディアン」では実態把握と教職員や保護者へのフィードバックを通して、子どもたちのリテラシーの向上に貢献することを目指している。

  同社では今年これまでの活動をまとめる形で、学校裏サイトを中心とした情報管理について、教育関係者向けのセミナーを開催する予定だ。

(聞き手 吉木孝光)

【2008年4月5日号】


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