レゴエデュケーション
日本地区マネージャー
樺山 資正 氏
誰もが幼い頃、一度は興じた積み木やブロック遊び。世界的ブロックメーカーのレゴ社の自律型ロボット「レゴ・マインドストーム」は、世界中で100万台を超えて利用され、教育用に開発された「教育用レゴ・マインドストーム」は、2万5千を超える教育機関で採用される自律型ロボット教材だ。レゴエデュケーション日本地区マネージャー・樺山資正氏に日本での取り組み内容を聞いた。
欧米の学校が授業にレゴ社の製品を取り入れ始めたのは30年前、現在ではオーストラリアや英国、シンガポールの半数を超える学校で教材利用されている。「日本では幼稚園・保育園等にレゴブロックを活用した独自教材・カリキュラムを提供する『プリスクール』や、応用力や創造力、コミュニケーション力を育む幼児教室『レゴ・エデュケーション・センター』のほか、教育機関向け事業では教育用レゴ・マインドストームとその教育カリキュラムの提供を行っています」
自律型ロボット教材
ボディにインテリジェント・レゴ・ブロックが採用されるなど、レゴ・マインドストームには、レゴ社で長年取り組まれているコンセプト「作りながら学ぶ」「遊びながら学ぶ」が活かされている。
樺山氏は「教育用レゴ・マインドストーム」が教育利用に優れた点について「子どもたちは興味を持って体験しないとファーストステップが踏めないもの。その点レゴブロックは誰もが子ども時代に一度は組み立てて遊んだ経験があり馴染み深く、ソフトも簡単」と垣根の低さを挙げる。
ロボットを動かすソフトウェアはアイコンベースのため、ドラッグ・アンド・ドロップで簡単にプログラミングが可能。慶応義塾幼稚舎や立命館小学校では小学校3年生から利用されている。また大学や企業のエンジニア研修での利用も豊富で、導入しやすく奥が深いのが支持される理由の一つだという。
10万人が集う大会
レゴ・マインドストームを利用した3つの国際大会をサポートしているレゴ社。そのうちの一つで平成8年から米国で始まった「ファースト・レゴ・リーグ」は現在、世界32か国の小学3年生から中学3年生まで約7万人、ボランティアの運営スタッフ約3万人が参加するまでに発展した。大会ではチームワークやコミュニケーション力を大切にしているため、個人参加ではなく2名以上でのエントリー。他のロボット大会にあるようなバトルものではないため、女子の参加率が高いのも特徴の一つだ。
「ロボット大会に参加することで、授業などこれまでの取り組みを発表する場として、子どもたちが達成感を味わうことができます。子どもたちには勝ち負けだけを競うのではなく大会を通じて科学技術の楽しさを実際に体感して欲しい」。そう大会に期待する樺山氏、今後については「これからも国際大会の開催や教育機関での活用など、幅広く教育現場をサポートしていきたいですね」と語った。ファースト・レゴ・リーグの今年度の日本大会は3月4日、日本科学未来館で開催される予定だ。
(聞き手 吉木孝光)
【2007年2月3日号】