NTTコミュニケーションズ(株)
部長 上草憲昭氏
プロジェクタや電子黒板でデジタルコンテンツを教室に投映する。先生はタブレットPCを用い、机間巡視をしながら板書や教材操作を行う――そんな授業シーンを提案しているのがNTTコミュニケーションズ株式会社だ。「ITなど使わなくてもいい授業ができる、という授業力のある先生にこそ、役立つシステム」と述べる同社市場開発部門担当部長・上草憲昭氏に話を聞いた。
同社が開発・販売する教材オーガナイザー「De te MO」(以下デテモ)は、より自然な形でデジタル教材を授業展開できるソフトウェアだ。タブレットPCとパソコンをP2P(ピア・トゥ・ピア)で無線LANにより接続、マウス操作やキーボード操作も不要なので、先生は教室内を自在に動き回りつつデジタルコンテンツの操作や板書ができるという仕組みだ。
直感的に操作できるため「ITに疎遠だった先生が2週間も経たないうちにデテモとタブレットPC、デジタルコンテンツを違和感なく使いこなし、確かな成果をあげていて驚いた。従来の授業スタイルと変わらない感覚でありながら、その導入効果は明らか」。
従来の活用ではアプリケーションの立ち上げなどにかかる数分間の「待ち時間」に集中力を途切れさせてしまいがちだったが、デテモは動作を極力軽くする工夫がなされており、生徒を「待たせない」授業が展開できる。
例えば教科書に準拠した英語のデジタルコンテンツをデテモと活用すると、ヒアリングテープの巻き戻しやフラッシュカード教材などの準備にほとんど時間をとられることなくスピーディーに展開できるため、生徒の集中力を逃さない。情報量がアップし「アナログだけの授業に比べて1・5倍近い語彙の共有化が図れる」(上草氏)という。
「教科の授業では、『効率』がキーワード。ITを活用することで無駄な時間を省けば、余裕を持って生徒に向き合えるし、教材研究にも時間をかけられる。生徒の集中力も情報量もアップするので、学力向上につながるのはむしろ当然」 また、教師用タブレットPC上に先生用画面が表示されるのも特徴だ。
「デジタルコンテンツの欠点は、指導書を参照しにくいこと。しかしデテモで教材研究を事前にしておけば、授業中に必要な書類や資料もすぐに参照できる。サムネイル表示から必要なページをすぐに生徒らに見せることもできるので、余裕をもって授業に臨める」
とはいえ、普通教室全てにプロジェクタを整備するのは難しい学校が多いのが現状だ。そこで上草氏は、空き教室を利用した「IT活用教室」というスタイルを提案する。空き教室にタブレットPCとプロジェクタを設置しておき、必要なときに「IT活用教室」で学習するというもの。そうすれば、コンピュータの準備にかける時間も不要になる。
「用途によっては、PC教室で実施する以上に効果的な一斉学習も可能。授業力があり、ITに疎遠だった先生であればあるほど、その導入効果は明白なはず」 (聞き手 吉木孝光)
【2006年7月8日号】
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