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簡単・安価な「e智図」目指す
東京カートグラフィック(株)
代表取締役社長 猪原絋太氏

-情報重ねて新発見 GISをもっと身近に-
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東京カートグラフィック(株)
代表取締役社長 猪原絋太氏
 地理や歴史の授業を支え、生活の基盤となる「地図」。これまで46年にわたり地図製作を行ってきた東京カートグラフィック株式会社は、地図製作のエキスパート。同社代表取締役社長・猪原紘太氏に「GIS」の魅力と学校での取組みを聞いた。

 国や地方自治体の地図、民間のガイドマップからカーナビゲーションで用いる地図データ等も作成する同社。現在は「地図からe智図へ」をキーワードに基盤となる地図製作のほか、ITを活用したGIS(Geographic Information System―地理情報システム)製品の開発・販売も行なっている。平成13年には技術協力した地図ソフト「Green Map世界編」(発行=東京書籍)が「学校図書館協議会・第3回学校図書館メディア賞」等を受賞、学校教育での評価も高い。

 「行き先を調べるだけならインターネットで充分だが、GISを使えば地図の上に自分で情報を重ねて、それまで見えなかった現実を読み解くことが可能になる」と猪原社長はGISの特長について説明。

 例えば、市町村の統計データをもとに所得や倒産件数を地図上で色分け、グラフ表示を行なう。所得が高かった和歌山県のある町を調べてみると、その地域は梅の産地であることがわかったり、倒産件数でみると、繊維問屋が集中する地域だったなど、複数の情報を重ねることで視覚的で新しい学びが生まれる。

 「近年、国が持つ地図データや統計データが各種サイトでも公開されるようになり、以前よりも安価にGISを使える環境が整った。教育現場での地域・総合学習やビジネス利用、個人的な情報の記録・管理など、専門家のツールではなく一般の方の幅広い利用ができるように、基本的な使い方に絞ったGIS製品を提供したかった」

 そこで同社では平成16年、独自の地図を作成できる「地図太郎GIS入門編」の販売を開始。低価格(3980円)でインストールも不要、パソコン上にコピーするだけでそのまま使うことができる。使い勝手の良さから神奈川県藤沢市の小・中学校でも利用されているという。

 「GISを特別なソフトとしてではなく、日常的に使っているワープロや表計算ソフトと同じように使えるよう、表示や機能も工夫した」(猪原社長)。

 同ソフトではWebサイトからダウンロードした数値地図や航空写真だけではなく、好きな地図もスキャンして背景地図として取り込めるほか、地図上に地域安全・防災関連の記号や情報(文字、写真、動画)の登録が可能。また距離・面積の測定や、統計データや表計算ソフトと組み合わせて簡単にグラフ・色分け表示も行なえる。

 「今後は先生方にもGISのことをもっと広く知ってもらい、授業で使っていただきたい。現場に応じたカスタマイズも可能だ」

 ネットへ接続しなくても利用できるため、課外活動だけでなく震災時の活用も可能なGIS。教育現場での幅広い活用が期待される。

(聞き手 吉木孝光)

【2006年6月3日号】


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