エルモ社 執行役員東京支店長 梅田博美氏
公民館や体育館などに一堂に集まり、映画や童話を観るのによく使われる16ミリ映写機。株式会社エルモは1927年、16ミリ映写機を日本で始めて製造・販売した映像機器メーカーだ。その系譜は現在、教材提示装置「ビジュアルプレゼンター」や防犯カメラ、液晶プロジェクタを通して教育現場を支える力となっている。
「最近では治安の悪化を受けて、私達の防犯カメラを導入してくれる学校も多い。だが、長い目で教育を見据えた場合、やはり授業のために役立つ『ビジュアルプレゼンター』の質を高めていきたい」そう教材提示装置へのこだわりを語るのは、梅田博美氏(同社東京支店長)。同社では、教室間の持ち運びに便利なモバイル型から大学等で使われる天井取付型まで、現在10タイプもの教材提示装置を揃えている。
「カメラの設計技術に私達の技術力やノウハウが詰まっている。『このタイプしか提供できません』というのではなく、どのような要望にも応じられるよう努めてきた。これだけのバリエーションを備えているのは私達だけだという自負がある」。
教室での使い勝手も良い「ビジュアルプレゼンターP30A」(税込価格=34万4400円)は、A3サイズまで取り込めるが、重さを4.7s(従来製品の約1/2)に抑えたコンパクトなつくりだ。
ズーム機能(128倍ズーム)をジョグダイヤルで調整できるほか、パソコンなしでもプレゼンテーションが出来るよう「SDスロット」を実装。またその一方で、パソコンとの連携を強化するため、動画像に対応できる「USB2.0端子」や、投映画像にパソコン上から書き込めて画面分割も可能なソフト「Image Mate for Presentation」等も搭載した。
「教室で利用してもらうために、『安く』『軽く』『省スペース』を実現できた。学校が豊富に持つフィルム資産も映せるように、付属品にはスライドフィルムアダプターも用意した。また縦横から映せるので、虫や試験管を投映して理科室で使う先生もいる。様々な場面や用途で手軽に使ってもらえると思う」。
それぞれ良さがある「板書」と「教材提示装置」。簡単に比較できるものではないが、黒板に向いて「書く」「消す」作業を繰り返し求められる「板書」が、生徒へ向く先生の時間を削ってしまうことは避けられない。海外に現地法人を持ち、世界的な視点に立った製品開発を行う同社では、「板書」と「教材提示装置」の効果的な併用を考えながら、より良い授業の実現に向けた取り組みを続ける。
「米国では教材提示装置を活用して、先生と生徒が向き合った授業が日常的に行なわれている。まだ補助的な使われ方が多い日本でも、教育効果を高めるために先生と生徒のアイコンタクトのある授業を実現して欲しい。そうした橋渡し役を担えるよう、今後も有効な製品を提供していきたい」。
(聞き手 吉木孝光)【2006年3月4日号】
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