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内山真弓さん
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東京都をはじめとした全国の都道府県の条例で、インターネットの利用時にフィルタリングソフトを使用することが努力義務化されるなど、子どもとインターネットを巡る環境整備が進んでいる。デジタルアーツ株式会社は、98年に国内で初めて純国産のインターネットフィルタリングソフトを開発した、フィルタリングソフトのパイオニアだ。
「先生方が授業の先にいつも期待しているのは、子供たちが喜んでいる姿。『インターネットを使って、こういう授業を実施したい』という先生のニーズを製品に反映したい」そう語るのは、内山真弓さん(営業本部公共営業部ゼネラルマネージャー)。明るく元気で誠実な人柄から学校の信頼も厚いという。
「悪質な情報を掲載するサイトに接続する前に制限をかけるだけでなく、生徒に見せたいサイトは閲覧できるようにすることも必要。私たちの役割は、そうした環境を作るナビゲーターと言える。先生方のニーズに少しでも製品を近づけることで、『インターネットの授業を自分でもコントロールできる』という認識を持って頂きたい。だからこそフィルタリング精度の向上には特に力を入れています」。
大人と子ども、職場とプライベートなど、年齢や環境によって「悪質なサイト」の位置づけは異なる。わかりやすい授業を行なうためには、指導の目的によって柔軟にパソコン環境を変えることが望ましい。
同社が保有する閲覧制限対象のデータベースは、現在約1億4000万ウェブページ。この膨大なURLの蓄積が、インターネットフィルタリングソフト「i―フィルター」(公立小・中・高校6000校以上で利用)や、メールフィルタリングソフト「m―フィルター」など同社が提供する製品の精度を支えている。
「以前は、先生方が求めるフィルタリング機能は、アダルトコンテンツの閲覧制限が多かった。しかし最近は、殺人現場の写真や、闇求人、拳銃や薬物の売買など、それまでの『見て不快』『授業に不必要』という枠では到底収まらないようなサイトも溢れている。子どもたちが被害を受けないことももちろんだが、それ以上に加害者にならないという観点でも製品作りをしなければと感じています」。
そこで「i―フィルター」や「コミュニケーション・サーバ・システム」にはインターネットへのアクセスを時間帯や1日に利用できる時間で管理する機能、スパムメールやフィッシング詐欺メール、掲示板などを校内サーバの中で疑似体験できる機能などが実装されている。
「プロモーションやセミナーも大切だが、フィルターの精度を高めなければ結果として現場が困ってしまう。『売り切り』ではなく『現場の声』を大切にした製品作りを強化していきたい。それがフィルタリングメーカーである私たちの役割だと認識して、取り組んでいます」。現場主義をモットーに、内山さんは今後も教育現場を駆ける。
(聞き手 吉木孝光)
【2006年1月1日号】