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e-ラーニングを第4の存在へ
デジタル・ナレッジ
-仕事と学びの両立に向けて-

 全入時代の到来、国立大学の行政法人化、学校選択制などにより学校間の競争も増した。企業を中心に広がりを見せ始めたeラーニングが、教育現場で注目されるのも自然な流れとなっている。

10年前からeラーニング技術専門企業として、教育機関や企業、官公庁にサービスを提供し続けている、株式会社デジタル・ナレッジ代表取締役、はが(はが)弘明氏に話を聞いた。
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 同氏によると、eラーニングは、時間と距離を埋める特性があるという。

 「eラーニングを利用すれば、現在だけでなく過去の授業の見直しや、距離が遠くて通えなかった人が学べるようになり、それまで時間や地理的理由であきらめてきた学びが実現することになる」。

 また同社は、学習する部分だけでなく、教材をいかに簡単に作成・配信できるかについても重視。

 「eラーニングは教室をWebに置き換えた、新しい教室の在り方で、コンピュータが先生方の代わりを務めるものではない。なるべく先生方の自然な教育活動がWeb上で行なえるように、先生と生徒を結ぶ役割を果たしている」。

 そこには、eラーニングは先生不要ではなく、先生がいて初めて成立するメディアに過ぎない、という同氏の考えが示されている。

 実際、県の教育委員会で同社のeラーニングシステム(ナレッジデリバー)を県全体で学校や地域の人々をつなげるシステムとして活用。県民が自由に登録・利用できるため、先生が作った教材で県内の子ども達が自由に学んでいる。

 さらに同社のeラーニングシステム(study・jpシリーズ)が導入されている、八洲学園大学(横浜市)では、全国の学生がeラーニングを利用してリアルタイムに講義を受講。講義や資料の内容が画面に映るだけでなく、チャットを使い授業中に講師と生徒が質問を交わして理解度を確認したり、授業以外の場では、メール・掲示板等を活用した交流もできるなど、双方向性をいかした学びが提供されている。

 同社システムの導入先から得られたデータによると、教室で受講している生徒の満足度と、eラーニングで受講している生徒の満足度は2%の違いしかないという(教室受講生が2%多)。

 同氏は、「これまでのeラーニングは実際の授業をそのまま伝える模倣から始まったが、これからは現実の授業よりも良い学びを提供していく局面に入ってきた。仕事と学びの両立は、eラーニングの技術がないと実現しない。将来的には本当に学びたいことを見つけた社会人がeラーニング大学で卒業するような社会の実現が一つの夢」と語り、今後について「現在ある学校・本・通信教育に加えて、2・3年後には4つ目の学びの存在としてeラーニングが認知されて欲しい。本当に学びやすい学びって何だろうということを考え、より良い学びの形を示していきたい」と結んだ。

【2005年9月3日号】


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