「さあ、みんなで漢字を一緒に書いてみよう」。本時に入る前の一こまだ。これまで習った漢字が電子情報ボードに大写しになる。子ども達は、「筆順アニメーション」の書き順を見ながら大きく手を動かす。
「黒板で漢字学習をすると、教師の手元が影になって見えにくい子どもも出てきますが、アニメーションを使うと、一点一画が教室のどこからでもはっきり見える点が良いですね。止め、ハネの意識も持ちやすい様子」と授業者の青山先生。新出漢字のときは「一画ずつ再生」、既習漢字など復習の場合は「ゆっくり再生」を選んで使っているという。
指でなぞるとラインが引ける
■授業アイディアが
わいてくる!
本時の展開では、物語文の「繰り返し」の技法に注目させることで、表現方法を学び、意味をより深く読み解く活動を試みた。まず、電子情報ボードに教科書の「目次」ページを映す。本来ならばここで入るはずの「教科書の目次を見て」という指示が不要、デジタル教科書を使うことで、児童らの目を容易に「目次」に注目させることに成功した。
「これまで学んできたどのお話に『繰り返し』が使われているかな」。
児童らは「『ずうっとずっと大すきだよ』にある」「『くじらぐも』にある」と、これまで学んだ単元を瞬時に振り返る。
「どこに『繰り返し』があるの?線を引いてみよう」。児童らは次々と挙手、前に出て「デジタル教科書」のボードに直接、指で線を引く。アンダーラインは、指やペンでなぞるだけで容易に引ける。
「このページじゃないの、もっと前のページ」「いちばん最初のページに戻って」というそれぞれの児童の声に、教師は「デジタル教科書」のページに軽く触れることで、瞬時にそれぞれのページに飛ぶ。複数の項目の「繰り返し」を探索しても、児童が混乱せず、集中力が途切れにくい様子。「注目させたいページが前に投影されているので、今、どこを見なければならないのか迷わなくてすむせいでしょうね。これは、デジタル教科書ならでは」と青山先生。
「この『繰り返し』言葉、みんなで一緒に読んでみようね」。クリックして本文ページを拡大、教科書のページを開かずに「一斉読み」活動へとスムーズに展開する。「低学年のうちは『何ページを開いて』という指示通りに出来ない子もいるのですが、絵を表示して『このページを開くのよ』と言うと、開けるんですね。教科書の上下巻を使いたいときにも、デジタル教科書ですとスムーズに展開できます。これまで出来なかった授業アイディアが実現します」。本時の最後には、「読み聞かせ」を行った。「繰り返し」が展開の中心になる「エパミナンダス」だ。児童らは表現の「繰り返し」から展開を予測しつつ、「耳」だけでお話を楽しんでいた。
■一斉授業を
強力に支援
青山先生は、デジタル教科書の活用法について「挿絵を拡大することで、ごく自然に挿絵に注目でき、イメージをよりふくらませ、読みを深めたり、意見の書き込みをすることができます。その時間内で決着が出来ないテーマの場合、書き込みをプリントアウトしたりコンピュータ上で保存したりでき、次の授業では前時の書き込みをそのまま再現して開始することもできるので、便利ですね。黒板は・保存・出来ませんから。題材が複雑になってくる高学年以降の教材で、説明文の構造を学ぶときなどにより活躍しそうな機能です。『デジタル教科書』は、一度触るだけで簡単に操作できるので、試したことがない方は実際に触ってみることがお勧め」と話す。
「国語デジタル教科書」は、サーバにインストールして校内LANを活用して使うことも、スタンドアロンで使うことも可能だ。
●体験版(VOL・2)申込みはhttp://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyoka/kokugo/S_digital/index.asp
「漢字の書き順」もしっかり見える
【2005年3月5日号】