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イギリスの教育情報化-特別編-
学習ソフト購入に
使途限定した予算を措置
-e-クレジット-
元三重県松阪市教育研究所 林敬泰氏

 最後にe−クレジットについて。イギリス教育省から全ての小中高等学校に学習ソフト購入予算が保証されていますが、これはバウチャー制度になっています。小学校が年間約50万円、中学校が約百万円、高校が約2百万円。e−クレジットは、学習ソフトの予算にしか使えない仕組みになっています。そのため、日本の学校のように学習ソフト購入のための予算を、校舎の修繕費等に使うことはできません。興味深かったことはe−クレジットでは、イギリスのソフト会社が開発した学習ソフトしか購入できないということです。学習ソフトとその会社のリストが教育省よりあらかじめ決められているのです。視察校のICTマネージャーは「e−クレジットでは、イギリスの情報産業を保護するためにイギリスのソフト会社のものしか購入できませんが、授業で使える学習ソフトが厳選されているので、購入後、後悔することはありません。情報産業の保護は、子ども達の進路にも関わることですので、教育省の方針に従っています。」と述べていました。(TEEM:http://www.teem.org.uk

 また、教育情報化教員の配置について。ローズランド中学校では、日本の情報コーディネータに当たる1名のICTマネージャーと、2名のICT推進教員(ICT活用推進係と各授業のテクニカルサポート係)の3名が配置されていました。ICTマネージャーは教職経験者で、数学で電子黒板を活用した授業が評価され、ICTマネージャーに抜擢されたそうです。ICTマネージャーになるための資格はないということでしたが、自主的に教育省・BECTA(英国教育工学会)主催の研修会や教育省指定校の研究授業に参加し続けてきたということです。イギリス教育省とBECTAは80年代末から、教育情報化の明確なプランを打ち出しており、その導入と推進方法についても、WebやCDで公開しています。特に、教育省指定校での電子黒板等を活用した指導案や実践指導ビデオをCDにまとめ、全英の公立小中学校に無料配布し、教職員研修等に活用することで、全教員の指導レベルを向上させているということでした。(BECTA:http://www.becta.org.uk)(NGfL:http://www.ngfl.gov.uk


【2005年2月5日号】