「高校生が、洗濯バサミや亀の子タワシを演示販売?」
販売する場所は、露店でも商店でもない。教室でのプレゼンテーション授業の1コマである。
千葉県立佐倉南高等学校では、平成11年度より「情報コース」を導入。2年次6単位、3年次9単位と、普通科としては大幅な情報科目を設置し、自己表現・コミュニケーション手段としてのコンピュータ活用能力の育成に努めている。
「普通高校なので、エンジニアの育成や検定取得を主目標とはしていません。今後の情報化社会に対応できる人材を育成するため、偏りのないカリキュラムを提供しています」と渡久山朝一先生。同校では「情報」教員免許を取得した「情報教育研究班」3人がティームティーチング体制で、生徒の希望進路や進度に応じた指導を行っている。
2年次で必修となる情報活用・(6単位)は、著作権保護やネチケット等のマナーや文書作成、表計算、情報発信の基礎などで構成。また3年次に設置された情報活用・(5単位)では、Webデザインやプレゼンテーションなどの実習的内容が、情報数理(4単位)ではデータベースの利活用やアルゴリズム、プログラミングといった情報Bに近い単元が提供されている。
「より実用的な内容を」と、プログラミングにおいては、C言語ではなくJavaScriptやBASICなどを使用。基礎の徹底に重点を置いている。またWebデザインでは、実在するペンションを題材とし、広告効果を高める方法を考察する。
一方、情報活用・に含まれる課題研究では、各自テーマを決めて作品を完成。ソフトウェアやCG作品の作成、コンピュータミュージックの演奏、プレゼンテーションなど、創造力を育む題材を提供している。
プレゼンテーションではPowerPointを用いて演示販売を行ったり、修学旅行の様子を報告。また地元の特長をグループで取材・発表するなど、体得した情報の発信に努める。インターネットなどの情報が氾濫する中、「足を使って取材した情報の確かさを実感してもらいたい」と言う。さらに、コンピュータに頼らないプレゼンの学習として演示販売も実施する。
また情報発信を行う上で、情報モラルの定着を徹底する。初期段階には、2時間の講義を実施。加えて授業内で注意を促すことで、Webページ作成やプレゼンテーションを行う際に、生徒は著作権などへ十分な配慮を行うという。
一方、生徒の観察力や注意力は、自身の作品制作はもとより、友人の作品に対する評価にも生かされている。現在、教師が作った定期試験の成績や制作課題などを評価の基準としているが、他生徒からの評価も参考としている。作品制作後には、1生徒が他生徒39人分の作品を5段階で評価するという。「39人分の作品を評価するので、インスピレーションが重要。作品を判断できる感覚を養っています」。数時間に及ぶ実習や他者評価を取り入れた取組みは、再来年度に迫る教科「情報」に指針を提供する。
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