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スマホ時代到来(4) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

親の心配は心の栄養

今回は、スマホについての「大人の心構え」を整理したい。

■ルールを決める

  「使用時間」。特に夜は、夜遅くまでのやりとりで生活に支障を来す場合が多いので、こだわりたいところ。前任地では、「○時には家族全員が居間の充電器に」がモデルルールで、時間は各家庭で話し合って決めることになっていた。状況は常に変わるので、何度も見直す機会を持つことが必要。

  「使用禁止」。できるだけ具体的に決めておく。食事の場所、家族の会話、自転車運転中、車の中、勉強中等、事前に決めておくと子どもは守ろうとする。のちの修正は難しい。

  「マナー」。電車や公共の場所での通話禁止などである。

■大人も交流する

大人の心構え
(1)ルールを決める
(2)大人がまず交流
(3)子どもと向き合う

  スマホは子どもの生活必需品だが、大人はよく知らない。そのことが問題を大きくしている。

  まず大人がスマホについて少なくとも知る努力をすることが必要である。特に、子どもが友達同士の親の交流は有意義である。他と違い、スマホは相手とのコミュニケーションで、親子の約束だけでは如何ともしがたい。教員時代、携帯電話依存の女子4人グループに私が介入してうまくいったケースを紹介する。

  まず親同士が集まって「ケータイ使用は10時まで」等、ルールを決める。各家庭で子どもにそれを提示し、子どもの意見を聞く。再度集まり、子どもの意見を聞き、ルールを「ほんの少し」緩和し最終決定。いくら各家庭でそれぞれが注意しても埒(らち)があかなかったのに一気に改善した。

  大切なのは、「ほんの少し」の緩和である。具体的には、この時は10時を11時に変更等をした。子どもは主体的に関わったルールは守ろうとする。大人の一方的な取り決めは全く意味をなさない。

■子どもと向き合う

  最も重要なのは、常に子どもと向き合って話し合うことである。思春期の子どもはなかなか聞いてくれず、「ウザい」と拒否的な発言をしたり、無視したりするが、実は親の声はしっかり聞いている。特に自分を心配する声には敏感で、彼らの心の栄養になっている。

  親として、子どもが心配だからこう思っている。親として、教師として、大人は子どもが心配でしようがない。だからついつい、先回りして失敗させないようにするが、時には失敗も大切である。ただ、失敗したときに相談できる大人が側にいることである。

  私にとって最も心配なデータを紹介する。

  ネットで困った事件に巻き込まれたときの相談相手の1位は、ガラケーの場合は保護者。それに対して、スマホトラブルの相談相手1位は友達。つまりスマホ使用の子どもたちにとって、大人は頼りがいがあるように映っていないのだ。
日本の大人の頑張りどころである。

【2013年9月2日号】

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