「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」は、絵日記で自国の文化を発信し、海外の文化を知るコンテスト。グランプリ受賞者は海外の子どもたちとの交流プログラムへの参加資格が得られる。今回は日本で交流プログラムが開催される予定だ。
応募用紙を作成し、 今回も準備万端の 友井教諭 |
前回はアジア24の国・地域から8万点近い作品が集まった。国内では優秀作品の多い学校・団体に「優秀団体賞」を贈呈している。前回受賞した16の学校・団体から、兵庫県神戸市立西郷小学校の図工専科・友井司教諭に話を聞いた。
友井教諭が「三菱アジア子ども絵日記フェスタ」(以下=絵日記フェスタ)を知ったのは、夏休みの課題を考えていたときだ。
全国的に各教科を通して子どもたちのコミュニケーション能力の育成が必要とされており、同校でも「自分の伝えたいことを上手く伝える」ことは課題の一つ。「絵日記フェスタの目的と本校の子どもたちの課題が合致しており、宿題のテーマにふさわしい」と、1・2年時に夏休みの宿題で絵日記をかいた経験のある3年生に取り組んでもらうことを決めた。
年間のカリキュラムで5枚の絵日記を完成
絵日記フェスタの応募規定は5枚つづり。「そこに教材としての意味がある」と考え、「私達のことを伝えよう」をテーマとして年間で取り組んだ。
まず1枚目は、学校での七夕行事の様子を絵日記にした。画材は自由。指導時には、絵日記のかき方や注意点などは話すが、「自由」な発想を妨げないように配慮した。文章を「書く」スペースは白枠のみ・行線入り・マス目入りと3種類用意して、取り組みやすいように工夫した。
過去の作品をラミネート加工 各国の雰囲気や思いを知る
前回は3名が佳作に入賞。 自分の姿を描くことを 大切にしている |
また、絵日記フェスタの過去の優秀作品集を何枚かラミネート加工し、この作品はどこの国の作品か、何の様子を描いているのかなど楽しみながら鑑賞した。「各国の雰囲気や何を大事にしている作品なのかということが、子どもたちにも伝わっていたようです」。クレヨンや鉛筆、水彩、ちぎり絵など様々な工夫が見られる作品が集まった。
夏休みの宿題は、絵日記「2枚」。題材は自由だが、各国の子どもたちの絵を見ていることもあり、絵日記作りにより意欲的になったようで、友井教諭は「上手にかきたい気持ちが高まっていました」と話す。夏休み後は2学期の授業の振り返りをテーマに1枚、冬休みに1枚をかき、全5枚が完成した。
絵日記フェスタの取り組みは担任に協力してもらい、保護者にも趣旨を伝えた。「担任の先生には文章を書く部分でも協力していただきました。担任、保護者の協力が得られるにつれ、豊かな取り組みとなっていることを感じました。絵日記を通じて自分の感動が家族、友だち、先生に伝わり、そこから生まれるコミュニケーション、感動を伝えるための工夫や努力が実ることに大きな喜びを感じたようです」。
当時の児童は現在5年生だが、表現することに喜びを感じる子どもたちに育っていると友井教諭は感じている。
今年度は4年生が取り組んでいる。友井教諭は「取り組みの方法こそ変えてはいませんが、前例を見ていますので影響されすぎないよう、自分の『心が動いた』部分を特に大切にして制作に取り組めるように考えています」と、子どもたちの豊かな表現や発想を見守っている。
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【三菱アジア子ども絵日記フェスタ2012‐2013】対象は6歳から12歳(応募時点)で、1作品5枚つづりの絵日記(テーマ「伝えたいな、私の生活」)を募集(2013年1月18日消印有効) http://enikki.mitsubishi.or.jp/
〈次回は教育家庭新聞11月19日号に掲載〉
訂正:前回の紙面で「国際選考会」の日程を誤って掲載いたしました。正しくは2013年4月(予定)です。お詫びして訂正いたします。
【2012年11月5日号】
【連載】絵日記から始まる国際交流 −三菱アジア子ども絵日記フェスタ