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キャリア教育どう取り組む -5-
社会人大学院でキャリア開発
−労働情報館・雫文男氏−
 厚生労働省より平成13年度に策定された、第7次職業能力開発基本計画に基づき、現在各地でキャリア・コンサルタント養成講座が展開されている。同省の指針に準拠した「キャリア・コンサルタント養成講座」を開講し、人材養成に取り組んでいる株式会社労働情報館代表取締役、雫文男氏にキャリア教育の今後について話を聞いた。

費用保障が課題に
 平成13年、金融改革の実施により、200万人の失業者が出るとの予測のもと、小泉総理を本部長に「キャリア・コンサルタント5万人養成計画」が策定された。

 個人のキャリアや失業について考えるとき、1980年代から米国が行なった失業者政策が参考になる。つまり、就労支援の専門家を養成する必要があった。それが、いち早くキャリア・コンサルタント養成講座を立ち上げた理由の一つだ。

 キャリア・コンサルタント資格取得は、「キャリア・コンサルタント養成講座」の修了が要件となる。そして、厚生労働省職業能力開発局長指定の能力評価試験に合格しなければならない。

 さらに、実務と事例研究などの研鑽を積み上げ、一人前のキャリア・コンサルタントとして公認の登録機関に登録されることになる予定だ。

 キャリアについては、もう一つ、大きな政策課題がある。それは大学改革だ。大学院を活用し、社会人に高度な専門教育の機会を提供する流れがある。

 少子化で、大学関係者も入学者の減少で悩んでいるが、それは見方を変えれば大学を社会人の再教育の場として活かすチャンス。

 これが、大学院や教育機関を活用した「社会人キャリアアップ100万人計画」だ。

 大学院を活用した生涯キャリアの形成で、就労能力(エンプロイアビリティ)を向上させ、失業予防も推進する。

 これまでの日本の大学院は、研究者養成に主眼を置くリサーチドクター養成に重きがおかれていた。これに対しアメリカではMBAやロースクールなど、実務的な専門職業教育を行なうプロフェッシナル養成コースが充実している。

 一度、大学を卒業した後にも大学院でのキャリア教育を受けることができるように、大学改革を行なった。そのため、日本と比べてアメリカは専門的で高度な知識を有する上級管理者や、プロフェッショナルマネージャーなどの層が厚くなっている。

 これまでの日本の終身雇用制では、社会人のキャリア開発は企業が引き受けてきた。しかし今後は日本においても社会人大学院がその役割を引き継ぐことになる。そこで、今日では日本でも社会人大学院教育が積極的に取り組まれるようになった。しかしその際に解決しなければならない課題がある。

 それは、大学院への通学期間中の社会人に対して金銭面の保証をどうするかという課題だ。また、高度な専門職を企業がどのように処遇するかも、人事制度の改革の課題となっている。

 一つが変われば他のシステムも影響を受けて変わるものだ。変革のためのアイデアが求められている。


【2005年9月3日号】


【キャリア教育】

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