湯本崇雄氏 |
文科省では、小学生から高校生までを対象とした「新キャリア教育プラン」、大学生・専門学校生を対象とした「キャリア高度化プラン」などを掲げ、「働く」ことに意義や意味を積極的に見出すためのプランに力を入れている。金融広報中央委員会では、「働く」ことを、「お金」との関わり方からアプローチ、HP「知るぽると」で情報提供、学校における金融教育のサポートを行っている。金融広報中央委員会
湯本崇雄事務局長に、取り組み内容を聞いた。
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■講師派遣・資料を提供
「金融広報中央委員会」が設立されたのは、戦後まもなくのこと。歴史は50年以上にもわたる。前身は「貯蓄増強中央委員会」で、日本経済の復興・経済発展のために必要となる民間資本蓄積のため、国民に貯蓄を奨励することが主な目的であった。現在も、子どもたちに「貯蓄」や「お金の使い方」についての意識を持たせようと「おこづかい帳」を作成し希望校に配布など学校教育への支援活動を行っている。
「金融教育というと、株式運用とイメージをだぶらせる方もいるがそれだけが金融教育ではありません。私たちは、金融教育を、社会を生き抜いていく力を養うもっと幅広いものと考えています。具体的な内容としては、一つは家計管理や生活設計を立てられること。働いて得た大切なお金を、どう管理し、運用していくのか。収入をわきまえながら支出を考え、将来を展望して貯蓄していくといった内容です。二つ目は、金融に関するトラブルに巻き込まれないこと、またトラブルをどう克服していくのか、ということ。三つ目は、金融経済の基本的な知識を身に付け、お金という視点から経済や社会の様々なことに気づいてもらうこと。四つ目は、ニート(無業者)の増加が問題となっていますが、働くことの意味、お金を稼ぐことの大変さ、働くことの楽しさについて、学校での幅広い取組みを通じて学ぶこと。それは、自分がどうやって生きて行きたいのか、につながります。以上のような金融教育の内容を踏まえて、金融教育の実践事例などを集めた『金融教育ガイドブック』を作成し、全国の学校に配布しました」。ガイドブックには、多くの授業事例を掲載、すぐに使えるワークシートや評価の観点も盛り込まれている。
金融広報中央委員会では、現在およそ100校の金銭・金融教育研究校に金融教育の実践研究を委嘱している。研究委嘱校の累計はおよそ1800校になる。金融広報中央委員会では学校における金融教育の幅広い展開のため、現在、研究校以外からも、金融教育の実践事例や公開授業の開催校を募っている。
また各都道府県の金融広報委員会では、学校の要請があれば、金融広報アドバイザーなどを講師として派遣したり、教材・資料を無償で提供している。
「変化の大きな世の中を生き抜くためには、子どもたちにもお金との付き合い方を是非学んで欲しい。私たちは平成17年度を金融教育元年と位置付け、金融教育の内容や重要性を多くの学校関係者の方々に知って頂くため、子どもたちを対象とした意識調査なども実施しながら、幅広い取組みを行って参りたいと考えています」。
●マネー情報 知るぽると http://www.shiruporuto.jp/
【2005年5月7日号】
【キャリア教育】