第44回教育委員会対象セミナー・札幌 ICT機器の整備計画/校務の情報化

11月2日に札幌市内で開催された本セミナーには主に北海道内から約130名の教育関係者が参集した。本セミナー講演内容を抄録する。

小学校から中学校へ児童情報を引き継ぐ 新篠津村立新篠津小学校・豊田治子教諭

特別支援学級の通知表も校務支援システムで

新篠津村立新篠津小学校・豊田治子教諭
新篠津村立新篠津小学校・豊田治子教諭

人口約3200人の新篠津村は、小学校と中学校が1校ずつの小さな村だ。新篠津小学校は、各学年1学級で特別支援学級2学級を含む8学級・児童133名。教職員は20名全員に校務用PCがある。学習者用端末は1クラス分配備。各教室と職員室でWi−Fiが使える環境にある。

平成27年度に校務支援システムモデル実践校として、小学校・中学校同時に校務支援システムを導入した。初年度は通知表・出席簿・指導要録の作成に活用。2学期からはグループウェアの連絡掲示板を用いて朝の打ち合わせの省力化を図った。卒業生の多くが村内の新篠津中学校に進学することもあり、システムを使って中学校へ進学児童の情報を引き継ぐ取組も始めた。

28年度には、新たに開設された特別支援学級の通知表もシステムで作成。校務支援システム「C4th」による連絡掲示板へ移行して一括で校務に関することを行う体制にした。

以前は、通知表作成には市販テストとリンクした通知表作成ソフトを、特別支援学級の通知表は表計算ソフトで作成したものを使用し、出席簿は表計算ソフトで入力・集計して指導要録は紙に記入、保存していたが、校務支援システムで作成・保存をすべて行うようになった結果、通知表や出席簿のデータを要録に簡単に取り込めるようになった。

要録については電子化を進めており、27年度分から校長印・担任印を省略している。32年度には完全に電子化する予定だ。

連絡掲示板を活用することで、毎朝行っていた朝の打ち合わせも変化した。活用前は5分以上かかることも多く、打ち合わせに間に合わなかった急ぎの連絡や、教職員が全員そろっていない時の連絡の周知方法も別にプリントを用意して配る、個別に再度連絡をするなど、効率が悪かった。

導入後は連絡事項はシステムの掲示板への掲載が基本となり、朝の打ち合わせに間に合わない分や補足事項だけを連絡する程度になり、週2回の朝の打ち合わせも短くなった。

毎朝教職員が学校に来てシステムを開くというルールも作った。朝までにわかった欠席児童の情報を担任が記入するルールも作ったので、児童の出席状況を全教職員が把握でき、迅速に情報交換ができる。また連絡をしたい人が情報を適時掲示板に掲載できるので、伝え漏れも少なくなる。後で内容を確認できたり、発信者が未読者をチェックしたりできるなどのメリットがあった。

システムの運用上の工夫としては、連絡掲示板を全教職員間で有効に使うため、校務補・事務補・学習支援員などの職員の分も、ユーザー名(支援システム用の職員番号)を取得した。

取組を通しての成果は、連絡掲示板を全教職員が活用できる体制になったこと。また、特別支援学級も含めて、成績を校務支援システムで一元管理する体制にできた。年度末の成績処理の省力化は大きい。

【講師】新篠津村立新篠津小学校・豊田治子教諭

 

【第44回教育委員会対象セミナー・札幌:2017年11月2日

【2017年12月4日】

1、北海道教育庁教育政策課・三浦新一郎主査
2、札幌市教育委員会総務課・元起克敏情報化推進担当係長
3、東北大学大学院情報科学研究科・堀田龍也教授
4、札幌市立屯田小学校・新保元康校長
5、北海道教育庁義務教育課・森田靖史主査
6、新篠津村立新篠津小学校・豊田治子教諭

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