特集:新たな学びを実現する〜自立・協働・創造的な学びへ

産学官次世代型学びプロジェクト「ひの@平山小」<日野市立平山小学校>

未来の創り手を育む

産学官次世代型学びプロジェクト「ひの@平山小」第4回公開研究会が11月5日、東京都日野市立平山小学校(五十嵐俊子校長)で開催され、7授業が公開された。信州大学教育学部の東原義訓教授が本取組を監修。平成27年度からスタートした本プロジェクトではBYOD時代に向けて、産官学共同で次の3つに取り組んでいる。▼ICTを活用した「自立・協働・創造」▼学校と家庭の学びの接続▼学びの記録を活用した「学び・指導・評価」

公開授業

同校では公開研究会を年間20回実施している。その特徴は、公開授業の前に授業担当者が授業内容のプレゼンテーションを行うことだ。事前に、公開授業のポイントや目的などをビデオにまとめて参加者全員に見せる。参加者は、見たい授業を効率的に知り、他の授業についても概要を知ることができる。

■特別支援・生活単元 美術館MAPを作成

美術館MAPわかくさ版を作成
特別支援学級では宿泊学習で撮影した「自慢の1枚」を選び、美術館MAPわかくさ版を作成

ゾウの鼻にぶら下がっている写真、檻の中に閉じ込められている写真、首だけが棚に設置された写真――特別支援「わかくさ」学級では「自分たちだけのトリックアート美術館マップ」を創る活動に取り組んでいた。
宿泊学習の際、高尾山トリックアート美術館で、アート作品に参加しながら互いに写真を撮影し合っている児童は、数人に1台の学習者用端末を順番に使って、その写真の中から会心の一枚を選択。トリックアート美術館では、作品に触れたり写真を撮影したりしても良く、カメラで撮って写真を見ると、より一層楽しめる。デジタルノートツールで写真の大きさやレイアウトを調整したり、コメントを付け加えたり、アートの特徴がわかる題名をつけ、トリックアート美術館の平面図に張り込んで、館内マップわかくさバージョンを作成した。作業の順番を待つ児童も、友人の撮影した写真に身を乗り出して注目しており、楽しみながら集中して学習を進める様子が見られた。

■2年・国語 気持ちの変化を探る

気持ちの変化を探る
登場人物の「気持ち」がわかる文にラインをひいた

教材文「お手紙」で児童は、登場人物「がまくん」の気持ちの変わり方について学んでいた。児童は学習者用端末に表示された教材文を使って、がまくんの嬉しい、楽しいなどプラスの気持ちには赤い線を、悲しい、苛立ちなどマイナスの気持ちが表れている部分には青い線を引いていく。それぞれにどんな気持ちが込められているのかを考えてコメントを書く際には、手書きやキーボードなどそれぞれの方法で入力。児童はお互いの線を引いた箇所やコメントを共有して、がまくんの気持ちの変化について話し合った。

■5年・生きぬく科 安全な場所を検討

一番安全な場所
一番安全な場所がどこか地図を見て話し合う

「海の近くは津波が心配」、「家から近い方が避難しやすい」――児童は情報端末にマップを表示し、どこに学校を建てれば一番安全かについて、グループで話し合っている。平成25年度に創設した「生きぬく科」の「災害に強い町」の授業だ。話し合いの内容はレコーダーアプリで誰の発言か分かるように録音。話し合いの内容をまとめる際に活用した。

■6年・国語 絵画を拡大して鑑賞

「この絵、私はこう見る」の単元で、ルソーの絵を鑑賞。情報端末で拡大し、絵の細部まで注目している。情報端末上の付箋に感想を書き込み、他の児童の画面を自分の端末で撮影して情報を共有。良かったと思う友達の感想を発表した。


パネル討論

平山小の産学官プロジェクトを支えた3社は、シャープビジネスソリューション、東芝クライアントソリューション、日本マイクロソフト(日本MS)。

パネル討論
本プロジェクトを支援した3社が討論

手書き入力が可能な情報端末(dynabook Tab S80)を提供した東芝クライアントソリューションの柏木和彦取締役は「機器の操作で児童の集中力が途切れないよう、紙のノートのように手書きができる操作性など小学生でも使いやすいインターフェイスを心がけた」と語る。会話を見える化するボイスレコーダーアプリ(Trurecorder)はビジネス活用を想定したものだが、本取組を通じてグループディスカッションなど教育現場での活用が見えてきたとする。

シャープビジネスソリューションは個別学習支援システム「インタラクティブスタディ」を提供。児童の理解状況を自動化して自分のペースで学習を進められる。同社の山ア公人代表取締役社長は「平山小での実践を参考にしながら、次の世代につながる新しいスタディシリーズに向けて一斉授業のスタディネットと協働学習のスタディノートの統合を進めている」と語る。

MSでは日常的にICTの授業を行う学校を「Microsoft Showcase School」として認定。日本からは平山小を含め3校が認定校だ。日本MSの小野田哲也業務執行役員は、MSのアンソニー・サルシト副社長が「平山小の実践が全国に広がれば日本はICT先進国になる」と感銘を受けたことを伝えた。

 

【2016年12月5日】

関連記事

↑pagetop