ICT効果に期待9割 PC室更新は6割がタブレット系

2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会<文科省>

3月25日に開催された「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」(清水康敬座長・東京工業大学)では、富士通総研が委託調査研究「教育の情報化に関する取組・移行等の実態調査」の中間報告を発表した。本調査は平成28年2月に実施したもの。回収率は3月25日現在739件(4割程度)。

それによると、ICTを活用した教育については約9割が何らかの期待をしている。また、約6割の市区町村教育委員会においては、社会、理科、総合的な学習の時間で半数以上の学校がICTを活用している。調べ学習や電子黒板へのデジタル教材等の提示をほぼ全校で行っている教育委員会は6割を超えている。

高等学校になると「情報」については86・7%が、「地理歴史」については40%がほぼ全校でICTを活用(あるいは予定)している。

PC室の更新の際の整備内容について、54・9%がタブレットPC、40・5%が固定PCの整備を予定・検討。ネットワークについては42・8%が無線LAN整備を予定・検討している。

普通教室の整備については、64・4%がタブレットPC、次いで56・7%が無線LAN整備を予定・検討。

タブレットPCの利用形態については「PC室にタブレットPCを整備して必要なときに普通教室に移動・活用する」35%、「PC室とは別にタブレットPCを1クラス分整備して必要なときに普通教室に移動・活用する」33%と「必要なときに使う」方法が約7割を占めた。

個人所有のICT端末を持参して授業で利用するBYOD整備について、高等学校及び特別支援学校について、約2割から3割程度の教育委員会が、可能性があると考えている。

整備規模が大きくなるにつれて整備担当の責任は重くなるが専任の担当を設置している教育委員会はごくわずかだ。ICT環境整備において、学校のPC室や普通教室等の情報システムの予算の検討、企画において専任職員を配置している教育委員会は1割程度。多くが教育委員会での併任で、約2割の教委では担当者が不在だ。校務支援システム等の予算の検討・企画の専任はさらに少なく1割に満たない。予算検討は8割が併任、企画は6割が併任だ。

また、49%の教育委員会が「教育の情報化」に関する業務推進の組織体制を設置しておらず、86%が「教育の情報化に必要な情報通信技術に関する専門的知識や技能を有している人材を育成できていない」と回答している。

中間まとめ案を検討

この日は中間取りまとめ(案)とその後のスケジュールについても検討。中間まとめ(案)については「次世代の学校・地域の創生」のため、校務・学習の両面でICT活用の役割を見直してさらに一歩進んだ活用を進めることで、チームとしての学校経営力を高め、次世代に求められる情報活用能力の育成や、プログラミング教育の充実、科学的素養の育成が盛り込まれている。

今後は、基本問題検討WG(堀田龍也主査・東北大学)、スマートスクール構想検討WG(藤村裕一主査・鳴門教育大学)、教育情報化加速化検討委員会WG(福田孝義主査・佐賀県副教育長)を設置して、情報化社会を前提とした学びの姿やその進め方について具体的に検討していく。

本まとめは、第3期教育振興基本計画における目標設定や環境整備、進行スケジュール検討、これらを実現するために必要な予算確保等に活用される。

なお平成27年11月、つくば市長が発起人となって開催された「全国ICT教育首長協議会」については、産学連携の仕組みを作り、全国ICT教育首長サミットの継続的な開催を計画している。

 

【2016年4月11日】

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