教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象にした教育委員会対象セミナーが7月7日、東京都内で開催された。主催は教育家庭新聞社。今回で第24回、今年度一回目となる本セミナーは、総合教育会議の影響か、首都圏を中心に全国の教育委員会からこれまで以上に多彩な部署の参加があった。8月は京都、10月は大阪で開催する。詳細日程は教育家庭新聞Webへ。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

設計制度を見直し サービス利用に転換 北海道教育庁総務政策局教育政策課 中山諭主査

北海道教育庁総務政策局教育政策課 中山諭主査
北海道教育庁
総務政策局教育政策課
中山諭主査

点から面へ 新たな挑戦

共同利用型校務支援

3つのメリット 平成21年から校務支援システムの基本設計に着手してきた北海道教育委員会(以下、道教委)では、小・中学校への普及が進まなかったことから制度設計の見直しを行い、民間事業者のサービスの利用へと大きく転換した。教育政策課の中山諭主査は、その経緯と目的について報告した。

北海道では、小・中学校の教員の人事異動は全道に14ある振興局管内ごとに行われることから、道教委では、どの学校に異動しても校務が標準化され、同じやり方で統一されていることが望ましいと考えている。現在、「点から面へ」を合い言葉に、校務支援システムを先行導入した自治体の事例を他の自治体に広めることで、管内全体に統一した校務支援システムを導入することを目指している。

APPLICの調査では、クラウド型の校務支援システムが導入されている自治体の割合は、政令指定都市では52%、市では24%、町村では8%となっている。従来は、規模の小さな自治体ほど、1校あたりの導入コストが大きくなることから、単独での導入が難しかったが、共同利用型にすることで、スケールメリットが働き、規模の小さな自治体も導入しやすくなる。

例えば、北海道の場合、約4割が小規模自治体であるが、共同利用型になることで、道内のどの自治体においても、安価でセキュリティの高いクラウド型システムの利用が可能になる。

次に、校務の標準化が全道で加速化し、校務軽減の効果が全道に広まりやすい。

市町村が単独でシステムを導入した場合、人事異動や児童生徒の転学・転入のたびに新しい情報をシステムに入れなくてはならなかったが、共同利用型では、北海道の全ての児童生徒情報が1つのデータに入っているので、ボタン1つで電子的に引き継ぐことが可能になる。

最後に、共同利用型にすることにより、職員の数が少ない小規模自治体の事務負担の軽減を図ることができる。

例えば、道教委が仕様の作成などを行い、従来の委託契約から民間の利用サービス契約に変更することで、通常は2、3年かかる準備期間を大幅に短縮することが可能になる。

今後のスケジュール

道教委では、平成21年から校務支援システムの基本設計に着手。22年、23年にシステム開発、試験運用を行い、24年から本格稼動している。

しかし、小・中学校への普及が進まなかった。その理由を分析すると、システムへの全面移行を求めたことやセキュリティ重視で帳票をPDFのみの出力に限定したこと、高校のシステムをベースにした設計を小・中学校のシステムに適用したこと、などが挙げられた。

この数年で校務支援システムを扱う民間事業者の技術力が急進展していることも踏まえ、小・中学校の校務支援システムの設計を見直し、道教委がシステムを開発するのではなく、民間事業者((株)EDUCOM)のサービスの利用へと大きく方向転換した。

これを機に、これまでは全道179自治体、1700校に対して1パッケージだけの提供だったが、自治体の財政事情や学校の実態に応じた複数のパッケージを用意。例えば、「保健の機能は不要」、「教務の一部とグループウェアのみ必要」等様々なニーズに対応することとした。

従来は、導入後の学校訪問サポートができなかった点も見直して、今後はNTT東日本と提携して学校訪問サポートも行う考えだ。

今年度は4自治体28校をモデル実践校に指定し、新しいシステムの試験運用を行いながら、平成28年4月の本格稼動を目指して、全道に新しいシステムを広めたいと考えている。

既に旧システムを導入している小・中学校約90校については、新しいシステムに切り替えてもらうよう丁寧に対応している。

試験運用の動きを踏まえ、道内の自治体では、平成28年度から新システムを導入する動きも見え始めている。最終的な目的は、子供と向き合う時間を生み出し、教育の質を高めていくことであると語った。(講師=北海道教育庁総務政策局教育政策課・中山諭主査)

【第24回教育委員会対象セミナー・東京:2015年7月7日】

【2015年8月3日】

 

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