教育委員会対象セミナー・名古屋 ICT機器の整備計画/校務の情報化

世界自然遺産や環境学習で活用 豊橋市立牛川小学校 高梨諭司教諭

豊橋市立牛川小学校 高梨諭司教諭
豊橋市立牛川小学校
高梨諭司教諭

調べ学習から話し合いを深める展開に

係わり合いを深める

豊橋市立牛川小学校では、豊橋市教育委員会と豊橋市小中学校現職研修委員会から研究委嘱を受け、「意欲的にかかわりあい、学びあう『牛川っ子』の育成〜ICTを活用した授業づくり、学校づくりを通して〜」を研究主題に、平成24年度から情報教育の研究に取り組んでいる。

開始当初は普通教室に大型テレビと教員用ノートPCが1台ずつ、PC教室にデスクトップPC37台、実物投影機が学校に3台という状況だった。

平成25年度からはNTTドコモの「小学生のための世界自然遺産プロジェクト『ユネスコキッズ』」に協力し、授業で1人1台ずつ行き渡るようNTTドコモからタブレット端末45台が貸し出され、無線ルーター4台とタブレットの保管庫も提供された。

導入、展開、まとめにICT活用

授業でICT機器を活用するにあたり、活用目的を明確にするため、単元全体を「導入」「展開」「まとめ」の3つの場面に分ける授業パターンを考えた。「導入」では課題に対して児童の興味関心を高めることで自ら考えるように促す。「展開」では自分で考えたことをグループで発表し、比較検討する。さらに、全体で話し合うことで自分の考えを深めていく。「まとめ」では振り返りを行うことで新たな課題を見つける。それぞれの場面においてICTを効果的に活用することで児童の活動がより深められる。

世界自然遺産を調べグループで話し合い

「世界自然遺産を活用した環境学習」は4年生の総合的な学習で「知床」「白神山地」「小笠原諸島」「屋久島」4つの日本の世界自然遺産について調べた。NTTドコモから豊富な映像資料が提供され、タブレット端末で見られるようにした。

「知床」の学習では、導入部は教員用端末の画面を大型テレビに映し出しながら知床の自然について説明することで児童の興味・関心を高めた。展開部では児童がタブレット端末を使って知床の自然について調べる。画面を拡大したり、繰り返し映像を見るなど、各自が自分のペースで学習を進めていった。

その後、調べた内容をグループで話し合い、最後に児童の端末の画面を大型テレビに映し出しながら全体の発表を行った。また、写真や映像だけでなく本物に触れる体験として、ヒグマの実物標本の貸し出しも受けた。

身近な環境を考える

4年生の環境学習では身近な環境を調べ、環境を守るために自分たちでできることを考えて取り組んでおり、世界自然遺産の学習は環境を考えるための導入として用いた。世界自然遺産の環境を守るために活動している人がいることに児童が気づき、そこから自分たちが住んでいる地域の環境を守るため、自分に何ができるかを考える。家庭で出来る環境の取組にまで内容を広げ、自宅に持ち帰ったタブレット端末で活動の様子を記録して授業で紹介する試みも行った。

タブレット端末を活用した授業では、ただ映像を見せるだけでなく、そこから話し合いに持っていくなど教員の授業力の向上が重要な課題となる。(講師=豊橋市立牛川小学校・高梨諭司教諭)

 

【第22回教育委員会対象セミナー・名古屋:2015年2月13日】

【2015年3月2日】

 

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