ICT絆プロジェクトFINAL 日野市立平山小学校

”生き抜く化”でICT活用

デジタル付箋
デジタル付せんXB(クロッシングボード)を使って分類の考えを発表

2014年度「情報化促進貢献個人等表彰」で文部科学大臣表彰「団体表彰」を受賞した日野市立平山小学校(五十嵐俊子校長・東京都)は11月8日、公開研究会「ICT絆プロジェクトFINAL」を開催した。

テーマは「21世紀を生き抜く力を育てる『新たな学び』の創造」。当日は全国から約300名の教育関係者が同校に参集。

特別支援学級を含む全学年が国語、算数、特別活動、生きぬく科など9授業を公開し、電子黒板やタブレット数種類等ICT機器を活用し、表現活動や協働制作、思考を深める活動、個別学習を展開した。

同校では「確かな学力」は主に既存の教科・領域においてこれまでの学び方を中心にしており、「21世紀に必要な能力・資質」の育成で、教科・領域を再編成して新たな教科「生きぬく科」を設置。

1人1台のタブレット端末の活用など、子供達が主体的・創造的に学ぶ「学びの場」創りに挑戦している。

同校では毎年半数ほどの教員が入れ替わることから、OJTと年複数回の公開研究会を中心に研修を進めており、そのノウハウや蓄積の手法も注目されている。

付箋を飛ばして端末4台をつなぐ

今回の新たな挑戦の1つが、6年3組「生きぬく科」防災探究プロジェクトの授業におけるXingBoad(クロッシングボード、以下XB)と、タブレット学習システム「スタディネット」の連携だ。

XBは、複数のタブレット端末を連携して1枚の模造紙のように活用できるもので、集散的な思考活動を支援するために開発されたアプリ。シンプルな使い勝手で自分なりのまとめ活動ができ、共有ができる。

XB端末を扱う生徒
名人の考えをXBで分類する
XB端末
4台の端末を画面上で合体できる

授業では、3〜4人グループで1人1台のiPadミニを活用。各人が防災で「探究したいテーマ」をピックアップし、その理由を説明し合ってから、グループ内で掲出されたテーマをデジタル付箋で分類・整理。

「地震・津波系」「雷・雨系」「台風系」「竜巻系」「火山系」など災害ごとに分類するグループが多い。

ここで活用されるのがXBで、自分の端末から隣の児童の端末にデジタル付箋を飛ばすことができるので、複数端末を1つの端末のように活用できる。

4人の端末それぞれにどの分類項目を配置するかを決め、各人の探究テーマを分類していった。

分類し終えたら、それを「合体」して各人の端末で共有できる点が、模造紙を使ったKJ法と異なる。

XBでは、話し合いの結果を各人で持ち帰ることができる。

児童は完成した分類を、スタディネットの機能を使って教員用PCに転送。

授業者の折茂教諭は、電子黒板に提示された中からいくつかをピックアップし、他グループの分類方法について考えさせ、発表させていった。

XBはAppストアからダウンロードできる。インターネット上でも活用できるが、平山小ではXBサーバを設置し、よりスムーズに作業できるようにした。詳細=xb.umegumi.net

村井純教授が6年生に特別講義

6年生を対象に、村井純教授(慶應義塾大学環境情報学部長)がテクノロジーの基礎や変遷をテーマにした特別講義も実施。

児童からは「黒と白だけで、いろんなことを話せるのはすごい」、「デジタルでいろいろなことができることがわかったから、一生懸命勉強して、世界に貢献したい」などの感想が聞かれた。

村井教授の思いが充分児童に伝わったようだ。

チャレンジ精神が素晴らしい実践に 【児童は既にBYODへの準備ができている】

東原義訓教授(信州大学)は、「チーム力とチャレンジ精神が素晴らしい実践を生み出す。

大量のタブレット端末と無線LAN環境であってもポイントを押さえればスムーズに稼動すること、端末がWindowsでもiOSでもAndroidでも児童は気にせず活用することを証明した。

児童は既にBYODへの準備ができている」、堀田龍也教授(東北大学大学院)は、「ICTを活用しなくても同じ内容の活動ができる、だから使わなくて良い、という主張もあるが、むしろ同じ内容の活動ができ同じ程度の効果が得られるのであれば、新しいやり方に挑戦すべきである、という時期にあるのではないか。ICT活用の慣れが、後々大きな違いを生み出す可能性がある」と、平山小の継続した試みを評価した。

【2014年12月8日】

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