新しい教育環境を活かす―横浜雙葉小学校

避難訓練や学校放送、教材活用に
宮正典教諭
宮正典教諭

横浜雙葉小学校(荒川健校長・神奈川県)は昨年度にPC室を更新、今年度はタブレット端末も導入するなど校内のICT環境を一新し、ネットワーク環境も強化した。全教室に配備されているデジタルテレビをリモコンで操作して校内放送できる仕組みも導入。デジタルテレビや電子黒板、無線LANアクセスポイント(AP)なども整備した。現在、授業や朝会など、様々な活用が始まっているという。日常的な活用の様子を取材した。




PC室はノートPC 児童用端末はiPad

横浜雙葉小学校
全校朝礼でシスターのメッセージを受けとる児童達
横浜雙葉小学校
全校放送も手軽に実現
横浜雙葉小学校
「みらいスクールステーション」で校内放送も各種教材も一元管理

PC室は開放されており、児童は始業前、楽しそうにタイピングの練習をしている。更新したばかりのPC室には、15・6インチのノートPC45台と電子黒板機能付きプロジェクターが固定で設置されている。さらに可動式の電子黒板(BIG PAD)が1台ある。また、2種類の大きさ(iPad及びiPadmini)のタブレット端末が計75台、タブレット端末の教材管理用にPC(MacOS)、モバイル用のアクセスポイント(AP)も計8台配備。充電保管庫については、今秋を目処に教室後方に設置される予定だ。

教室にあるデジタルテレビの画面には、連絡事項や宿題の内容、日直などが提示されていた。普通教室には、前方に50インチのデジタルテレビが天吊りで固定設置され、教育用PCと実物投影機、Appleテレビ、みらいスクールステーションのメディアボックスが設置されている。

朝礼が始まると連絡事項が映っていたテレビ画面が切り替わる。シスター田中順子学園長の姿が見えると、児童はシスターと声を合わせて朝のお祈りをする。その後、シスターの講話が始まった。

整備目的を明確に

同校の「新しい教育環境」の整備について宮正典教諭は「ネットワーク環境が15年ぶりに強化されたことから、より有効に活用したいと考え、こんな環境があれば活動が充実する、と思うものを整備した」と話す。

整備目的は一つひとつ明確だ。2種類のOS、2種類の大きさの端末導入については「iPadは昨年、4人に1台でグループ学習などに活用しており、活用度が上がっていることから2人に1台活用できる数に増加。iPadminiは、デジタルカメラ感覚で使うための整備。デジタルカメラよりも画面が大きく、校外活動などの際にはその場での振り返りに使える。事後の資料に使いたい写真のピントなども確認しやすい。ビジネスの場で一般的であるWindowsにも触れる機会を与える必要があると考え、PC室はノートPCとした。ブラインドタッチの練習も遊び感覚で楽しく取り組んでいる。

表活動での資料作成は、予想以上の創造力を発揮するようになり、驚いている」と述べる。なおBIGPADは次年度以降に台数を増やす予定だ。

デジタルテレビを避難訓練で活用

校内テレビ放送の仕組みは「みらいスクールステーション」(富士ソフト)を活用したもので、今夏に導入したばかり。夏休み明けからは、避難訓練や全校朝礼、児童会の報告や授業活用などでの活用が進んでいる。

「避難訓練はこれまで、音声のみで行っていた。しかし、避難する際には机の音やざわめきなどで音声が聞こえにくい場合があった。そこで、デジタルテレビの画面を活用して文字情報も提供したいと考えた」

今年の避難訓練では、教室のテレビ画面に「注意情報」が表示され、机の下に一次避難した児童は画面を見ながら次の指示を待っていたという。「声と画面の視覚・聴覚両方で伝えることができる仕組みは、冗長化につながる。また、いつくるかわからない音声指示を待つより既に表示されている画面表示を見るほうが安心感もある。画面表示では、テンプレートで必要な表示を選択するほか、自分で指示すべき内容を打ち込むこともできる」と述べる。

学校放送で全校朝礼

同校では毎週木曜日が「全校朝礼」の日だ。そのうち月1回が、シスター田中順子学園長の講話による放送朝礼。これまでは音声のみで行っていたが、テレビ画面を活用することでシスターの表情やしぐさも見えるようになり、メッセージがより伝わりやすくなった。

「通常は校庭で行っている朝礼も、天候によっては教室で行うことができるようになった。現在、音声のみで行っている毎日の『朝の祈り』も、上級生の顔を見ながらできるように、『みらいスクールステーション』を使って行うことも考えている」

現在社会科で、音声や動画をサーバに登録、授業に活用しているが、リモコン1つでテレビ画面に静止画も動画も提示できる手軽さから、今後は他教科の教員に活用を広げていきたいという。

さらに、緊急地震速報の仕組みの導入も考えている。「音声発信の仕組みは既に導入済みだが、視覚・聴覚両面で緊急性を訴える仕組みが実現し、システムの冗長化にもなる。『想定外』を『想定』し、できる限りの整備をしていきたい」。

荒川健校長は「高度情報社会といわれる現代社会において、情報を見る目を育てることは、学校教育の中でも重要なことの1つです。小学生のうちから学び、経験することによって、子供達はより的確に、より安全に活用できるようになっていきます。本校では、15年以上前のPC‐98シリーズのころから導入を始め、指導を続けてきました。最近の機器の直観的な操作性は、子供達の表現の幅をより広げてくれています」と新しい教育環境に期待をしている。

導入して間もないが整備目的が1つひとつ明確なことから活用が進んでおり、それとともに活用アイデアも拡がっている。今後さらに日常的な活用が進んでいきそうだ。

【2014年10月6日】

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