教育長に聞く〜未来の学びを築く―益城町 森永好誠教育長

「校務の情報化」次の曲面に
「ICT」と「人」で学びを支える

杉並区 井出隆安教育長熊本県のほぼ中央北寄りに位置し、熊本市の東側に隣接する益城町。ベッドタウンとしての機能と熊本空港や高速道路のインターチェンジなどの交通拠点を有し、人口の増加に伴い発展を遂げてきた。教育の情報化に関しては、平成23年度に企業と共同で「校務支援システム」を構築し、町内の小中学校7校で運用を開始。他の地域に先駆けて校務の情報化を進めてきた知見を基に、次のステージを見据えている。今後の展望について、森永好誠教育長に聞いた。

先進的な取り組みから 次のシステム構築へ

企業と共同で構築した校務支援システムの活用は、今年度末でひと区切りとなる。開始当時はクラウド・コンピューティング環境を活用した先進的な取り組みとして近隣自治体の注目を集めた。実際に運用を開始する中で現れた課題点などを開発側へフィードバックし、改善しながら指導要録や通知表の電子化などを進めた。熊本県教育委員会が無償提供する市町村立学校向け校務支援システム「ゆうnet」も併用し、出張申請などの服務管理や行事管理なども電子化。教員の校務負担の軽減を図ってきた。その過程で学校現場の協力を得ながら蓄積してきた知見を活かし、より良い校務支援を実現するために、システムの再構築も視野に今後の在り方を検討している。

学びの可能性を広げる「ヘルプデスク」に

平成21年度の文部科学省学校ICT環境整備事業により、普通教室に大型テレビや電子黒板、実物投影機を設置し、教員が日常的に活用できる環境を整備した。ヘルプデスクも同年より設置。NPO法人ICTサポートスクエアに委託し、校務や授業活用の両面で教員をサポートしている。

これまでのヘルプデスクの業務は校務支援システムに関する場面が多かったが、今後は授業中の効果的なICT活用にも積極的に関わって欲しいと考えている。従来型の知識習得に留まらず、着想力や表現力を高め、自分の意見を出し合い議論することで学びを深めるような、いわゆる21世紀型の学力の育成を見据えたICT活用のサポートを期待している。

「人」を積極的に配置

学校が抱える様々な課題に対応するには「人」の力が欠かせない。ICTだけでは解決できない部分はまだまだ多いと感じている。小1プロブレム・中1ギャップに対応するために、全学校の小1・中1各クラスに1名の補助教員(18名)を配置。さらに、各校1名の補助教員(7名)や特別支援教育の支援員(9名)を配置するなど、人の力を活かした、きめ細やかなサポート体制を築いている。

地域の活力を高め 元気な学校を維持

熊本市のベッドタウンということもあり、中心地の児童数は増加しているが、周辺には少子化が進み始めた地域も存在する。町全体の取り組みとして、積極的な宅地開発や定住促進補助金制度、義務教育期間中の医療費助成など、子育て世帯を支える施策を充実。地域の活力を高め、統廃合せずに元気な学校を維持出来るように働きかけている。学校教育は、子供達がのびのび育つための環境をどう整備するかに尽きる。学校、保護者、地域の声を大切に、より良い教育環境の構築に向け、教育委員会だけではなく町全体として取り組んでいきたい。

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お詫びと訂正 前号「教育長に聞く」に誤りがありました。お詫びして訂正致します。
誤=特別支援学校にはタブレット型端末は27台整備済み
正=特別支援学級にはタブレット型端末は27台整備済み

【2014年8月4日】

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