容易に教材の修正が可能な 「ダイナミック教材」の画像 |
豊中データステーションに 設置の高精細立体表示装置 |
大阪大学は、学内外の情報基盤を支える組織として、「サイバーメディアセンター」を平成12年度に設置した。同センターは、大阪大学内の大型計算機センター、情報処理教育センター、図書館(一部)を再構成して組織されたものだ。ここでは、同センターの最新活動について紹介する。
サイバーメディアセンターでは、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ=Virtual Desktop Infrastructure)とBYOD(持ち込みパソコンの活用=Bring Your Own Device)の仕組みを活用した、新たな教育用計算機システムを今年9月に導入する予定だ。
これまでは、授業を受けたり自習したりするには専用端末が必要なため、端末の導入および運用にコストがかさんでいた。また、経年による端末の老朽化で、サービスの質が相対的に低下するという問題もあった。
VDIとBYODとを併用することで、端末や場所を問わず、同センターが提供するのと同一の計算機環境が利用できるようになる。
従来のインターネット教材は、修正が困難という課題があった。同センターが開発を進めている「ダイナミック教材」は、教材の共有・再利用・パーツ利用を前提としているもので、修正が容易に行えるのが特徴だ。
操作性を極限まで追求し、若干の訓練で、コンピュータに不慣れな人でも教材作成が可能。プロトタイプはすでに完成している。同センターでは「教材作りに苦労している教職員の方々には、デモや情報提供など、可能な限り応じたい」と話す。
外国語教員と連携し開発したデスクトップ端末用のウェブ辞書をベースとして、タブレット端末環境での操作性や機能を備えたiPad用辞書アプリを開発し公開している。今後は、対応言語の拡大や操作性の向上を目指す。また、辞書データの開発を行う外国語教員へのサポート機能を開発する予定だ。
スーパーコンピュータや大規模計算クラスタで解析された計算結果は、情報の欠損なく、しかも直感的に分かりやすく可視化されなければならない。
そのため、高精細立体表示装置をサイバーメディアセンターうめきた拠点と豊中データステーションに構築中だ。
可視化により、スーパーコンピュータや計算クラスタを用いた産学連携研究機会の創出だけでなく、一般の人にも科学研究への理解が深まることが期待されている。
大阪大学では、学内における多種多様な情報通信の利用を支えるICT基盤「大阪大学総合情報通信システム(ODINS)」を備えている。
ODINSの特徴は、ネットワークシステムの運用・管理面だけでなく、ネットワークの規模や通信速度も含め、利用者の声を直接的に反映させたネットワーク構成を目指していること。たとえば、授業中にネットワークが必要な教室などに、優先的にアクセスポイントを増加させたりしているのは、その一例だ。
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大阪大学サイバーメディアセンターは、こうした取り組みを通じ、教育機関や産業界と密接な連携を図っているとともに、地域に開かれた組織として活動している。
【2014年5月5日】
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