教員のICT活用をワンストップで支援
授業コンサルティングの様子 |
スタジオでの撮影風景 |
愛媛大学は教育デザイン室を設置し、ICT活用における科目担当教員の授業改善や、教育改革にともなう学部のカリキュラム改善に関わる支援などを行っている。
これまで教員向けにはICT活用に関する研修会を実施していたが、受講しただけでは、授業改善上の問題解決に充分な専門的知識の獲得は難しい面があった。
「担当教員は授業『内容』の専門家であり、授業『設計』については、不慣れなまま改善に取り組むことになってしまい、それが時間的・心理的負担となっていました。そこで、授業設計の支援組織による、設計・開発から実施、運用サポート、研修までのトータルなワンストップ支援が有効であると考え、教育デザイン室を2013年に設置しました」(愛媛大学総合情報メディアセンター教育デザイン室長 仲道雅輝氏)
他大学でも同様の支援を行うケースはあったが、ワンストップで支援できる仕組みを整えたのは愛媛大学が日本初だったという。
■インストラクショナル ・デザイン手法を重視
教育デザイン室の業務は大きく次の4分野に分かれている。
(1)授業科目担当者へICTを活用した教育支援
インストラクショナル・デザイン(ID/教育設計)の手法をもとに、ICTを活用した授業構成の見直し、および授業をより効果的・効率的・魅力的なものにするための授業設計の支援を行う。
(2)教材の開発・作成
シラバスや講義資料などをもとに、資料の効果的な提示方法の提案、教材のブラッシュアップ、講義の撮影・編集など、eラーニング教材の作成支援を行う。
(3)eラーニング運用サポート
eラーニングコンテンツの使い方などにおいて、スムーズに運用できるためのサポートを行う。
また、事例の紹介や研修会の開催などを通じて、担当教員のスキルアップを支援している。
(4)ICT研修会の開催とICT活用教育の普及
ワード、エクセル、パワーポイントなどの使い方に関するICT研修会の開催、ICT活用教育事例の紹介などを行う。
■569コース(科目)でeラーニング活用
eラーニングを取り入れているコース数(科目数)および利用教員数は大きく増えている。2007年には7コース・6名だったのものが、教育デザイン室の設置以降(準備段階を含む)は2012年には410コース・123名と大幅に増加。2013年度は、569コース、177名となっている。
今後は、これまで制作してきたeラーニング教材コンテンツの他者評価を実施し、質の向上に努めていく考えだ。
「eラーニング教材の授業全体における位置づけや効果的な活用方法のコンサルテーションを通して、『授業をデザインする(授業設計)』という視点をさらに広める必要性を感じています。そうすることで、eラーニングをツールとして活用していきながら、学習成果を蓄積し、ポートフォリオ(教育・学習成果の可視化)の実現や、さらなる教育展開へつなげていきたいと考えています」(仲道氏)
【2014年4月7日】
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