石垣市教育委員会(沖縄県)では、平成25年11月に市内の小中学校25校の全学級に電子黒板、書画カメラを整備している。併せてデジタル教科書(小学校‖国語、算数、社会、中学校‖国語、数学、英語)を導入した。
整備の最大の目的は、児童生徒の学習支援にある。ICT機器の活用については、電子黒板や書画カメラなどを授業に取り入れることで、児童生徒の興味・関心を高め、理解が深まり、学習の効果があがるということが各方面から報告されている。どうしてこれが可能かというと、「百聞は一見に如かず」である。年間の平均気温が24℃、大きな山や川のない沖縄にとって、四季の変化を感じることは難しい。言葉で説明することも大切であるが、具体的な写真や動画などを見せることで、より現実に近い形でイメージを持たせることができる。実際に見たり、聞いたりすることが困難な東北地方の冬の様子、原子力発電所で働く人々の現場などを映像を利用して確認すると、児童生徒の思考や理解を深める事ができる。ICT活用は、その機器を使うことが目的ではなく、あくまで授業の目標を達成する道具である。
今回の導入で特に強調したいのは、電子黒板とデジタル教科書の活用である。デジタル教科書に付属している挿絵や文、分度器や図形などがタッチパネルを使うことで拡大・移動などが簡単に操作できるので、授業を効果的に進めることができる。利用している先生方からも、「子どもたちの目の輝きが違っている」、「集中力や興味が非常に強くなっている」などの感想が聞かれ、電子黒板、デジタル教科書による授業は、効果絶大である。
本市では、ICTの全教室導入で、教室の教育環境が激変し、電子黒板が従来の黒板と同じように活用されている。ICT機器活用は、得意な教師が研究授業や高度な使用をするのではなく、どの教師も日常的に活用することを目指している。
教育委員会では、ICTを使った教師の指導力(活用力)の向上を支援すべく、沖縄県立総合教育センターの協力を得て、研修会を開催し、学校教育におけるICTの魅力、効果、活用例等の事例をもとに、ICTの教育活用について研修を行っている。
中でもフラッシュ型教材は、県内の卓越した教員を講師に招聘して実施。電子黒板でのフラッシュ型教材の使い方、プレゼンテーションソフトを使ったフラッシュ型教材の編集や学校内で教員相互で共有したりすることを実際に体験した。フラッシュ型教材の魅力は、課題を瞬時に次々と提示することで、どきどき、わくわくしたゲーム感覚を味わう楽しさがある。また、短時間に集中して反復練習することで、基礎・基本の知識を定着させる効果もある。
このほかにも本市では、教材開発の契機を多く与える観点から、指導の現場にICT支援員を配置し、教師の指導力(活用力)向上を支えていく取組も行っている。
ICT機器の効果は、教師の指導力にICT機器の活用力が加わることで、格段に向上するといわれている。今後も、職員の指導力向上のため、支援体制の充実を図るとともに、タブレットPC等の整備も進め学習環境を充実させる。これにより、児童生徒の学力向上を図りたい。
石垣市の名誉市民で第7代早稲田大学総長であられる(故)大浜信泉先生は、「人の価値は生まれた場所によって決まるものではない、いかに努力し、自分を磨くかによって決まるものである」と述べている。
児童生徒が、「確かな学力」と「生きる力」を身に付け、自分の進路に向かって、大きく羽ばたくことを願っている。本市の市鳥であり、国の天然記念物である「冠鷲」の如く。
【2014年3月3日】
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