決め手は利便性とセキュリティの高さ
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Suicaと一体化した学生証。 表(上)と裏(下) |
明治大学(本部・東京都千代田区)は、学生証とJR東日本のSuicaとを一体化させた「Suica付き学生証」を、全学生を対象に導入している。
同大学で、学生証のセキュリティ向上を図るため、従来の磁気カードからICカードへの変更を検討していた同時期に、社員証や学生証と一体化させたSuicaのサービスが開始された。
「SuicaのICカードとしてのセキュリティの高さと学生の利便性を考慮して、導入を決定しました」(明治大学教務事務部教務事務室)
学食や売店で電子マネー決済
こうして「Suica付き学生証」は、2008年11月に導入されることになった。これは、国内初の「Suica付き学生証」の導入ケースである。
Suicaと学生証が一体化したことにより、これまで駅窓口で購入する必要があった通学定期券が、通学区間に変更がない継続購入の場合は、自動券売機で購入可能となった。
また、Suica機能の大きなメリットのひとつである電子マネー決済サービスも、導入以降、学内で利用できるよう順次、整備を進めてきた。
現在では、Suicaの電子マネーで、在学証明書など各種証明書を自動発行機で取得できるのをはじめ、学内の食堂や売店などの施設においても、Suicaの電子マネーで決済ができる。
学生証とSuicaとが一体化したことにより利便性が高まった一方で、学生や大学にとって手間が増えた面もある。
紛失の再発行手続き 従来より手間増える
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そのひとつが紛失した際の再発行手続きの煩雑化だ。旧学生証では学内での発行が可能であったため、紛失等による再発行を即時に行うことができた。
しかし、Suicaとの一体化により学内での発行が不可能となったため、再発行に時間を要するようになった。
また、学生証を紛失した際は、学生は大学とJRの両方の窓口に届け出なければならず、手続きが煩雑化した。
利便性高める サービス開発へ
教務事務室では「学生証とJRの通学定期券とが一体化したことが、学生にとって最大のメリットだと認識しています」と話す。
しかしながら、明治大学の4キャンパス(駿河台、和泉、生田、中野)のうち、和泉と生田の2キャンパスは私鉄沿線にある。学生によっては私鉄しか利用しないため、学生証と一体化することができない。
学生からも「SuicaだけでなくPASMOとの一体化も実現させてほしい」という要望が出ている。
ほかにも学生からは「Suica一体化学生証による割引サービスがあるといい」「学生証と定期券が一体化していることは、別々に持つよりも便利でスマートな反面、紛失や壊れたときのリスクが大きい」といった声が寄せられているという。
現状ではキャンパスによって一体化のメリットを受けられない学生もいるので、今後はすべての学生が享受できるサービスの開発を検討していく考えだ。
【2014年2月3日】
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