土浦市教育委員会(茨城県)では、「小中連携の強化」を目的に、昨年度から小学校高学年と中学校のICT環境整備を強化している。市も「教育に関する予算には大きな理解がある」という井坂隆教育長に、教育施策と教育の情報化について聞いた。
昨年度から学校の情報化に関する予算の確保に注力している。ICTの整備や支援、研修を担当する専任の指導主事を1名増員して体制を強化し、電子黒板やデジタル教科書などを小学校高学年と中学校の全普通教室に設置。情報機器の活用を支援する情報教育サポーターも配備し、学校現場からはかなり好評だ。これら整備は「ICT環境ハンドブック」も参照した。
新規で教育予算を確保するためには、行財政改革に組み込まなければ難しい。また、情報機器の整備は、単体で持ち上げるべきものではないと考えている。教育目標を実現するための手段としての整備、というストーリーが必要だ。
そこで市では平成30年までに全ての学校を「小中一貫校」とすることを目標として、小学校高学年と中学校の連携機能を強化できる環境整備を先行して行うこととした。それが、電子黒板や各教科のデジタル教科書配備につながっている。
また、分離型一貫校の際の学校間のやりとりを密にすることを目標に、Web会議機能も活用している。
既に生徒会と児童会が事前にWeb会議で打ち合わせをし、地域内で「あいさつ運動」を行った。また、小学校では、「社会ではたらくひと」という単元の中で教育委員会や教育長との交流授業も展開した。このほか、校長会でもWeb会議を実施し、管理職自らがその有用性を実感できるようにしている。
今、子どもに伝えるべきことは、常に変化する情報についての在り方。そして情報機器やネットワークは、空間を圧縮することに有意性がある。その有意性を活用するためには、教員の指導力の強化を推し進めていかなければならない。
情報システム技術の発展により学校をとりまく仕組みも、すぐに古くなる。子どものほうが対応は早く、教員を含め大人はどうしても遅れがちだが、スペシャリストの育成ではなく、全員が日常的に使えるようにしていきたいと考えている。子どもたちのより良い学習のためには、教員も勉強しなくてはならない。それによって子どもたちの、これまで発揮できなかった新しい力を育くみやすくなる可能性がある。
市では現在、ICTの教科活用に先行して取り組んでいるが、次の段階で早々に取り組みたいのが、情報モラル教育だ。法教育や人権教育に則ってネット社会の陰の部分にも対応していく。これは小学校低学年から取り組むべき課題だと認識している。
校務の情報化に関しては、各学校の教職員の共通の課題や教育委員会との連携における課題などを洗い出している最中で、検討委員会を今年度立ち上げた。
今年度は校務用PCを1人1台配備したことから、来年度以降は小中一環教育9年間の記録を継続的に利用できるよう、優先順位を決めて順次計画的に実現していきたい。
【2014年2月3日】
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