全小中学校6000人が校務支援システムを活用―京都市教育委員会

 京都市の学校情報化は、平成10年に大きく動いた。当時3年計画でインターネットを全市に敷設し、平成13年には全校で学校HPを開設。また、平成15年には京都市教育ネットワークを構築し、翌年から校内LAN整備を5か年計画で着手。

 務支援システムについては平成24年度に予算化し、平成25年度の一部先行実施を経、26年度からの全小中学校241校・全教員数約6000人のシステム活用に向けて準備が進んでいる。

  センターサーバ方式でシングルサインオンできるようにし、機能面では、児童生徒情報に関するものと学校運営に関するものに大別される。出欠管理や通知票作成、日常所見の入力、学校保健情報管理、授業時数管理、学校日誌作成、施設予約管理機能などを備える。指導要録の電子保存も行う。

  システム導入には大きく3つの狙いがある。まずは校務事務の「標準化」だ。教員の異動後も同じシステムを活用してすぐに新年度の準備ができるようにする。

  次に、教員の負担軽減。情報を一元管理し、手書き書類を減らす。

  最も重きを置いているのが、教育の質の向上。システム化をきっかけとして教育内容を見直すことにつなげる。

  今年度小学校19校、中学校11校で先行実施し、全ての機能を活用する。先行実施する学校については、公募して選択。多数の学校から応募があったのは、関心の高さの現れ。スムーズな全校展開を意識し、各行政区に必ず小中学校が1校ずつ入るように配慮して選出した。

  管理職・担当者向けの研修に加え、職員室で実際のデータを触りながらの出前研修も全校で行う。次年度は200校余りに導入するため、それに向けての研修は今年度から開始している。

  専任の校務担当者は置かず、プロジェクトチームで対応。システム導入をきっかけに教育行政の業務フローを見直し、「全校で活用する機能」「学校判断により活用を選択できる機能」「校務支援システムでは標準化しない機能」の3段階に分け、導入スケジュールや研修内容なども検討。成績処理については、教員の創意工夫を重視し、校務支援システムでは標準化しない。一方で、全てを教員任せにするのではなく、指導と評価の一体化を高いレベルで実現するため、全教科領域にわたる京都市独自の指導計画「京都市スタンダード」を作成している。

  校務の情報化を進めるにあたり重要なことは、教育委員会と校長会との信頼関係、プロジェクトメンバーの権限、学校のミドルリーダー育成とリーダーシップ、教育委員会とシステム導入業者との十分な意思疎通など。

  各学校の特性やこだわりをどこまで反映するのか、何を標準化すべきか、試行錯誤が続く。スムーズな導入に向け、業者選定にあたっては、学校教育の現状に精通していることがポイントの1つになると感じている。

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【2013年11月4日】

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