英語の授業でiPad―埼玉県越谷市立大袋中学校

 3月6日、埼玉県越谷市立大袋中学校で「iPad等ICTを活用した授業」が公開された。当日は大阪、京都の中学校やNPO団体、企業などが視察。英語(1年生)の授業を取材した。授業では生徒2名につきiPad1台が配布され、デジタルTVと連携されていた。

授業動画をWeb掲載 多様な学習に対応する

ISEF

担任は授業を進行、ALTは音声面を担当する

ISEF

iPadを見せ合いながらスキットを考える

 授業は小林敦子教諭(英語)とALT・Sean McGarry氏のティームティーチングで進められた。授業の進行と板書、説明は教員が、生徒との会話のやり取りなど音声面はALTが行った。

 この日の授業ターゲットは過去形を用いた会話活動。

 「今日は過去形のパターンを使っていきます。後ほどiPadでも練習してもらいます」
 小林教諭は黒板に英語の単語カードを貼り付け疑問文を作っていき、“Sean,please ask me.”とALTに促す。

 “Did you read a book yesterday?”ALTが問いかけると“Yes,I did”と生徒が返答。“Oh,I see.Very good.”とALTも会話を返す。会話練習の際にデジタルTVには本を読む子どものイラストが提示されていた。

 このやり取りを動詞やシチュエーションを変えながら練習した後にiPadが2人に1台配られた。

 iPadには食器洗いをしているイラストやハンバーガーを食べているイラスト、手を洗うイラストなどが一覧で表示されており、イラストに合わせた会話を隣の席の生徒と英語で行った。

 “Next formation”と小林教諭が声をかけ、次はレベルを上げての練習だ。

 「昨日や先週、去年など過去を表す表現をうまく使って会話しましょう」と2列に座っている片方の列の生徒が一斉に1つ後ろの席に移動し、順々に席を変えて会話練習を行った。

 さらにレベルを上げ、次は“Did you wash your hand yesterday?/Yes,I did.I washed my hand yesterday”の動詞を変えたパターンを複数回行った。

  「次は本棚のアプリ、iBooksを開いてください」

  生徒はiBooks内に保存されている自作教材「公園で〜している」を開く。この教材は公園の写真に10種の動画が埋め込まれたもので、再生ボタンを押すと、大袋中学校の吹奏楽部やテニス部など各部活動の様子が撮影された動画が再生される。各動画は9秒から23秒までの収録時間だ。

  小林教諭は「ここでSean先生と、中学校1年生で習った単語だけで、動画を使ったスキット(寸劇)を行います。今日のターゲットである過去を表す表現を必ず入れましょう。会話のキャッチボールは5回くらい行ってください」と説明し、スキットの例を実演した。その後、2人1組ごとに動画を選びスキット原稿を作成。最終的に見ないで発表できるように練習をしていく。

  生徒の進捗具合を見て、一定のレベルに達したと判断した小林教諭はALTと新たなスキットを実演し、「テニスの話をしている時はテニスをitに変えて会話すると、一つステップアップした会話ができます」と促す。

  授業の最後には2人1組で、教室の前に出て原稿を見ずにスキットを発表した。

  この日の授業ではiPadを通して発見したり、考えたり、コミュニケーションしたりする活動を重視、生徒の相互啓発型授業となるようにしていた。

ICT支援員は文教大学の学生

  また、この授業には近隣の文教大学の教育学部に在籍するICT支援員が入っており、授業の様子をビデオで撮影していた。撮影された授業は短くまとめられ、授業動画サイト「まなぼ〜画」にアップされている。生徒が自宅などで学習する際に使用できるように授業動画を公開しており、多様な学習機会を提供している。

【2013年4月8日】

 

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