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9月13日、OECD(経済協力開発機構)は、「図表でみる教育2011」を公表した。それによると、OECD加盟国において、教育支出は前回に比べて増加傾向にあるにもかかわらず、日本の教育における公的支援は低下傾向にあり、現在加盟国中最下位であることがわかった。教育費においては、私費負担、特に家計負担の割合が大きい。また、日本の15歳の読解力は高水準にあり、低成績層の占める割合が低く、不利な社会・経済的背景にも関わらず好成績を上げる生徒の割合は比較的大きいと分析されている。OECD加盟国と比較して授業時間は短く、それに対して教員の就業時間は長い。これにより、日本の教員が授業以外に費やす時間の多さも明らかになった。日本の大学の授業料は高く、公的な支援(奨学金などや補助など)を受ける学生の割合が比較的低い。
日本の15歳を対象とした「OECD生徒の学習到達度調査」(PISA)の2009年の読解力分野において、成績の低い子どもの割合は31・6%と、OECD加盟国中4番目に低い。これにより日本の15歳の読解力は高水準にあり、低成績層の締める割合が低いと分析することができる。
日本の教員が「授業」に費やす時間は、初等教育段階で707時間、前期中等教育段階で602時間、後期中等教育段階で500時間であり、いずれの段階においてもOECD平均(それぞれ779時間、701時間、656時間)を下回る。一方、法的勤務時間は、いずれの段階でもOECD平均を大きく上回っている。日本の教員が「授業以外に費やす時間」がOECD諸国に比べ、顕著に多いと言うことができる。
2009年のPISA調査による分析結果から、社会・経済的背景が、生徒の読解力と関係していることが明らかになっている。これは親の学歴や職業、蔵書の数など家庭の所有物も含まれる。
不利な社会・経済的背景を有しながら好成績を上げる生徒の割合は、日本では10・5%だ。これは、韓国(14%)、フィンランド(11・4%)に次いで高い数値となる。
これにより報告書では、日本では、不利な社会・経済的背景にも関わらず好成績を上げる生徒の割合が比較的大きいと分析することができるとしている。(詳細 http://www.oecdtokyo.org/)
家庭の負担高い日本 学歴と雇用率は関連
日本の在学者1人当たりの教育支出額(公財政支出と私費負担の合計)は、初等、中等、高等教育段階においてはOECD平均を上回っているが、就学前教育段階においてはOECD平均を下回っている。公財政支出のみで見ると、日本の教育への公財政支出の国内総生産(GDP)比及び対政府総支出比はOECD平均を大きく下回っており、OECD加盟国中最も低い。よって、日本は教育支出において、私費負担、特に家計負担の割合が大きいと言うことができる。なおOECD加盟国で私費負担が多いのは、1位チリ、2位韓国。
日本の教育支出における私費負担の割合は、学校教育段階全てでOECD平均より高く、特に就学前教育と高等教育の段階において顕著に高い。日本は、韓国と同様に「授業料は高いが学生支援の仕組みが比較的整っていない国」のグループに位置づけられる。
また、日本では、大学の授業料が高く、公的な支援(奨学金などや補助など)を受ける学生の割合が比較的低い。
OECD加盟国において個人所得は、高等教育の終了によって大きく上昇するが、日本においても高等学校を終了していない場合の所得は、修了者の約8割程度である。大学修了者は、未修了者と比較し、68%所得が高い。この傾向は、日本において女性で、より顕著に表れる。また、受けた教育段階が進むほど雇用率は上昇し、失業率は低下。より高度な教育を受けた成人ほど、人生に対する満足感や社会への参画意識が高い。
日本の成人(25〜64歳)の高等教育修了者の割合は、OECD諸国で3番目に高い44%で、OECD加盟国中トップクラスだ。なお1位はカナダ(50%)、2位はイスラエル(45%)。