最新IT教育―実践、成果を報告―ICT|フィンランド教育 |
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第12回上月情報教育研究助成の対象となったのは、同研究会の「小学校における情報教育カリキュラムの作成とそれを達成するためのシステムおよび教授パッケージの開発」。教員が情報教育の授業を体系的に設計し指導・評価していくうえで役立つ教材をパッケージ化した。授業用コンテンツや指導案、ワークシート、指導資料で構成される。児童が興味関心を持てるよう参加・体験できる活動や、授業をする際に理解しておくべき知識や姿勢なども盛り込まれており、小学校の中・高学年から継続して使うことで内容を蓄積して発展させるなど授業改善を図ることも可能。
研究が始まった平成16年には、長崎県佐世保市でブログを端緒とした小6女児同級生殺害事件が発生したことを受けて、研究内容を情報教育の中の、情報モラル・安全・健康を中心とした授業実施のための教材開発に焦点化した。メールや掲示板、著作権、心身への影響、ネットゲームやウイルスに関する内容など10の章からなる。
パッケージ化にあたっては、研究会に所属する小学校担任や音楽科、家庭科、養護教諭、中学校の数学科、英語科などあらゆる教科の教員が授業実践や教材等の検討を重ねて改善。ワークシートやコンテンツは、使用する教員が適宜変更できるよう、汎用ソフトで提供した。平成18年には「ネット教育指導用パッケージ」として完成し、町田市の全小学校と稲城市の全小中学校、多摩市、狛江市の希望校に配布されたほか、全国の希望する学校にも寄贈された。
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研究の成果が各学校へ広がりを見せる一方、予想を超える申し込みにより、すべての希望に応じられなかった二見教諭。そこへ届いたのが第14回上月情報教育賞受賞の知らせだった。そこで、受賞賞金をもとに携帯電話やブログ、ネットいじめなど時代的なテーマの教材も新しく開発して、研究成果をまとめ、今年3月明治図書出版より「小学校ネット教育簡単ガイドブック」(税込2478円)として発売した。
二見教諭は、「上月スポーツ・教育財団のおかけで、研究会の成果を形にすることができました。大変感謝しています」と述べ、上月情報教育研究助成の積極的な利用を勧める。
【2009年11月7日号】