情報モラル教育の第一人者である東京都北区立赤羽台西小学校主幹(図工・情報担当)の野間俊彦氏に、情報モラル実践上の留意点を聞いた。
東京都北区立赤羽台西小学校
野間俊彦主幹
■保護者も対象に
危険やルールに気付いて
情報モラルの必要性
「インターネットの特徴は、匿名性と非対面性にあると思います。中学生くらいから、加害者になるケースも増えてきます」。
“見えない”ことで、普段できないことまでネットの世界では行ってしまい、他のケースよりも危険性は更に高くなる。情報モラル教育が求められる所以の一つだ。
同小の取り組み
平成13年度、同小は校内研究テーマを「情報モラル教育」に定めた。しかし、いざ「情報モラル」と向き合った時、学校側には教える術がなかった。どう授業すれば良いのかわからず、手探りの状態が続いた。
1学期、夏休み期間と教職員同士で会議を繰り返し、カリキュラム作りの出発点を「児童に教え込むのではなく、気付いてもらおう」に決めた。ようやく授業が開始されたのは2学期になってから。最初の授業は、架空のアンケートページを作成して挑んだ「個人情報を守ろう」だった。
授業後、児童の口から「個人情報」という言葉が聞かれるようになり、また中学生になった当時の教え子が来校した際には「今でも印象に残っている授業」と語ることもあるという。
それから4年、現在、情報モラルの指導は「個人情報を守ろう」「悪質なサイトに気をつけよう」「著作権を守ろう」「チェーンメールが来た!」「CMにはのせられないぞ」など8授業が行われるようになっている。
保護者とともに
自分の携帯電話やコンピュータを手にする児童も少なくない今日、家庭を巻き込んだ情報教育も求められる。
「初年度の頃は、学内で保護者向け情報教育セミナーを開いても、それほど保護者の方は集まりませんでした。その頃に比べ、皆さんの情報教育に対する意識は年々高くなってきていると思います。ただ具体的な知識が足りないだけでしょう」。
そのため同校では‘子どもに伝えたいこと’と題して情報教育の現状や必要性を保護者会で取り上げる。
これから始める学校は何から取り掛かると良いのだろう。
「教える側が情報教育の必要性を共有できるように、是非、校内の研究テーマに「情報」を据えて取り組んでもらいたいですね」。
豊かな社会のために
情報社会は子ども自身の手で作っていく必要がある、と同氏はいう。
「子どもは大人を真似るものです。今の彼らをしっかり育てないといけないと思います。そうすることで今の子ども達が、その次の世代の良い手本になってくれるのはないでしょうか」。
【2005年3月5日号】