■「心の面談票」作成
長崎県教育委員会は10月5日、佐世保市立大久保小学校児童殺傷事件に関する第2次調査報告書を発表。事件の経緯や加害・被害児童の状況などを詳細に示した。
また、「現時点におけるまとめ」の中で、緊急に取り組みたい施策として、1子どもたちの心の状態を的確に把握するシステムの確立(心のサイン把握のため、「心の面談票(仮称)」を作成し、県内の全小中学校で活用する)、2子どもたちの心に届く道徳教育の推進(子どもの発達段階に応じた「命の大切さや死についての指導に有効な教材集」を作成・配布、3管理職及び教員の指導力の向上(教員研修の一層の充実を図る)、4家庭や地域社会の教育力の向上及び子どもを取り巻く環境の浄化(あいさつ・声かけ運動など「ココロねっこ運動」を一層推進する)を指摘した。
■保護者の認識不足
4割近い子どもが家庭でインターネットを利用し、1日当たりの利用時間は60分以上が2割以上。掲示板やチャットの利用経験者も2割以上に及んでいる一方で、保護者の認識が十分でない−−長崎県教育委員会は11月1日、小・中・高校生の「インターネット利用状況調査報告書」をまとめた。
調査対象は、小4、小6、中2、高2の児童生徒3779名、保護者2537名。
全体で39・2%の子どもが家庭でインターネットを利用し、その利用率は小432・3%、中242・9%、高244・3%と、学年が上がるにつれ高くなる。その利用頻度は、「1週間に1回くらい」が29・1%と最多だが、「だいたい毎日」も19・1%いる。「大体毎日利用する割合」は学年が上がるほど高くなる。また、男女別では女子の方が利用頻度が高い。
家庭での1日当たりのインターネット利用時間は、「30〜60分くらい」が42・6%と最多だが、60分以上も2割にのぼり、また利用時間は学年が上がるほど、長くなる。
インターネットを利用する際の保護者の同席状況は、「いつも自分だけである」が46・3%と最も多く、半数近くが保護者の同席はないという結果だった。小4生でも2割以上が「いつも自分だけ」で利用されていて、保護者の監視がなされていない。この傾向は、学年が上がるにつれて高くなり、また、女子の方が男子より若干高い。
家庭でインターネットを利用している子どものうち、電子掲示板への書き込み経験が「ある」は22・0%で、この割合は学年が上がるにつれて高くなり、高2では35・8%になる。また、チャットへの参加経験も「ある」が24・7%と掲示板とほぼ同様の割合。いずれも、男子よりも女子の方が経験者の割合が若干高い。通信販売やネットオークションを利用した経験の「ある」中学・高校生も29・3%にのぼる。
一方で、インターネット利用時のルールやマナー、利用時間について、保護者と話し合ったことがある子どもの割合は、小4でも過半数に達しない(46・0%)。子どもたちの具体的な活用と保護者の意識には、大きな差が見られ、保護者が思っている以上に、子どものインターネットの利用が進んでいる結果が浮き彫りにされた。英国の学校では、教師が子どものインターネット利用履歴をモニターすることを規定し、保護者にもその方針に同意することを求めている。しかし、日本ではそうした慣習は根付いていない。
報告書は、「保護者は、子どものインターネット利用の有無は把握できていても、電子メール、ホームページの開設、電子掲示板やチャットなどの具体的な利用内容までは十分把握できていない。保護者も様々な利用形態を把握し、児童生徒とともに、モラル・マナー・影の部分を押さえておく必要がある」「親の知らないところで、子どもが通信販売などを利用し、年齢等に不相応のものまで購入することが可能であることを保護者は意識する必要がある」と課題を提示した。
【2004年12月4日号】