文部省予算・平成17年度
新規に学力向上拠点事業
14教科で教科書指導力向上プログラム
文部科学省の平成17年度予算概算要求が発表された。一般会計は、6兆8653億700万円で、前年度当初予算比13・3%増。問題行動対策プログラムにより命を大切にする教育、安心して学習できる学校環境作り、情報モラル教育、など各分野で事業が拡充されたほか(
1面参照)、確かな学力の向上、産業教育の振興の分野でも事業の拡充が図られている。
■確かな学力の向上 これまで実施してきた「学力向上アクションプラン」や教育課程実施状況調査の成果・結果を踏え、新規に「学力向上拠点形成事業」(9億3000万円)を実施する。47地域で地方公共団体が策定した計画を主体とした「確かな学力育成のための実践研究事業」を行うとともに、「わかる授業実現のための教員の教科指導力向上プログラム」を14教科で2種類ずつ作成する。
科学技術・理科、数学教育を重点的に行う「スーパーサイエンスハイスクール」の指定校数を60校から80校に拡充する。また、指定期間を3年間から5年間に長期化し、科学技術系の人材育成の取り組みを深めるとともに、大学との連携の在り方の研究も推進する。
また、「理数大好きモデル地域事業」(14億3000万円)を新規に実施し、30のモデル地域を指定し、理数教育に積極的に取り組む地方公共団体を後押しする。「・総合的な学習の時間・推進事業等」(45億1000万円)も拡充する。
英語教育では、「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」の指定校数を85校から100校に拡充。新規に「小学校英語活動指導力向上事業」(2億2000万円)を設け、各都道府県に推進地域を指定し、小学校英語活動の指導方法などについて実践研究する。
■問題行動・不登校への対応 不登校児童生徒への早期発見・対応など、一層決め細かな支援を行う「スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業」を450か所から500か所に拡充し、新規に「不登校への対応におけるNPOなどの活用に関する実践研究事業」(1億円)を実施し、10団体に効果的な学習カリキュラムや活動プログラムの研究を委託する。
また、不登校や問題行動などに早期対応するため、「子どもと親の相談員」を拡充し小学校1410校に配置するとともに、新規に「生徒指導推進協力員(仮称)」を小学校550校に配置する。
■情報教育の推進 子どもたちが情報社会に参加する際の基本的なモラルの指導に力を入れるため、新規に「情報モラル等指導サポート事業」(1億4000万円)を実施。モデル校60校での研究(1年間)、ヘルプデスクの開設、教員向け指導資料の作成などを行う。
また、e−Japan計画の目標達成に近づけるため、「e−Japan実現型教育情報化推進事業」を行う。校内ネットワーク整備の遅れている17都道府県に企業などの専門家を派遣。民間企業と県内の指導主事がペアを組み、ネット構築の知識・技術を伝達する教員向け講習会を各県内5か所程度で開催する。
さらに、スーパーITハイスクールを15校に拡充(1校当たりの予算=新規5校約700万円)。また、ネットワーク配信コンテンツ活用推進事業を36地域に拡充する(新規9地域の1地域あたりの予算は約1500万円)。
■産業教育の振興 技能五輪や地域産業の振興、バイオ研究など専門的職業人の育成を行う「スーパー専門高校」を45校に拡充(指定期間3年。新規1校当たり1200万円)、企業実習と教育を組み合わせた人材育成システムである、専門高校等における「日本版デュアルシステム」も18地域に拡充する(新規1地域900万円)。
【2004年9月4日号】