普通教科「情報」が平成15年度からスタートして今年で3年目。この間、先進的に先行実践してきた教員や1年目から「情報」を設置した学校の教員を中心に教材、授業カリキュラムの精選が行われ、教科としての蓄積が行われてきた。しかし、学校独自の情報環境の構築やメールを活用した実習、情報モラル、評価、授業の継承といった課題も抱える。各校の実践と課題を取材した。
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「基本的な操作とともに、情報の受発信まで体験させています」と語るのは、福島毅先生。
千葉県立行徳高校は、1年次に「情報A」、3年次に「情報C」を設置。中学生のリテラシーもかなり向上しているが個人差があるので、1年生の4月当初はコンピュータの基本操作、タッチタイピング、フォルダの概念・ファイル操作をまず教える。5月になると、ブラウザ操作と検索の基本を身につけさせたのち、Yahooのフリーメールを利用して、メールアドレスの取得方法や送受信方法を体験させる。
環境の未整備やトラブルを予想してメールの送受信を実際には生徒にさせない学校もある。しかし、福島先生は、卒業後生徒が自分でメールアドレスの取得をする必要性も出てくることから、その方法を教え、情報モラルについて話を進める。
2学期は、自分の望む進路・職業について3か月間かけて調べプレゼンテーションソフトにまとめてプレゼンテーション。インターネットでの情報収集の方法や、自分の訴えたいことを効果的に他人に伝える要点を学ぶ。
3年次の情報Cは、CM研究とメディア比較が大きな柱。情報を相手に伝える手段について、CMを手本にそのポイントやデザイン、ユニバーサルデザインなどについて学習。グループまたは個人で課題を設定し調査・研究後、プレゼンテーションする。また、メディア比較では、政府の白書などを題材に小学生向けのニュースを作り実際に小学生に伝える、新聞各紙の記事を比較し、メディアによって情報源や報道内容に違いがあることを学ぶ。
評価は、小テスト、ワークシート、報告書、プレゼンテーション資料や発表方法、などから総合評価している。
福島先生は、「3年間授業の組み立てや教材について工夫してきました。教材研究をしている先生のもとで学べば生徒は力がつくが、そうでない学校との間には格差があります。私も本校に赴任して10年目になりますので、転任後の授業の継承が気がかりです。先生のための専門サポーターが必要です」という。
【2005年5月7日号】